昨年12月、学生記者はコロナに感染していました。そのときの様子や闘病中に考えたことを3日間にわたりお伝えしています。
■誰もが「感染しているかも」という意識
12月14日。症状を自覚したのは、卒業論文の提出日でした。参考資料を置いている自宅でパソコンに向かっていました。普段よりは外出を控えていたのですが、そのタイミングで感染しました。前の週に会っていた友人が体調を崩していないか連絡しましたが、元気でした。どこからウイルスが忍び込んだのかは不明で、無症状の人から感染した可能性が高いようにも感じます。とはいえ、今となっては確認するすべがありません。
今回学んだのは、無症状の人が身近にいるかもしれない、ということです。もしかしたら、この記事を読んでいる人もその1人かもしれません。知らず知らずのうちに家族はもとより高齢者施設、医療機関の人々にウイルスを広げてしまい、誰かを重症化させていることがあります。それが医療体制の逼迫につながっています。
日ごろから「感染しているかも」と思って行動することが大切だと感じました。感染するまで、そのような意識は抜け落ちていました。自分がかかるとは思っていなかった。その慢心は間違っていたと反省しています。
■SNSに流されていたかも 自分の行動を振り返る
昨年夏、Go toトラベルを利用して、ときには車で、ときには電車で、さまざまな地域に足を運びました。感染者が増える中でも、飲み会に参加することもありました。今考えると、InstagramなどのSNSに流されていた気がします。みんなが遊びに行っているからいいかな。心のどこかで思っていたと思います。
でもその行動が、家族や大事な人の命を奪う可能性があることを身をもって知りました。もし同居する80代の祖父にうつしていたら、悔やんでも悔やみきれなかったと思います。今その行動が必要なのか、ほかにもっと感染リスクを下げる方法がないのか。その都度考えることが大事です。
保健所の聞き取りの際に知ったのは、飲食のときの感染リスクが非常に高いということです。「飲食のときは、どのくらい話が盛り上がって、会話をしたの?対面だった?ビニールの仕切りはなかった?」と細かく聞かれました。友人と食事をする際は、こまめにマスクをしていましたが、このような心掛けならだれでもすぐにできるでしょう。今なら、横並びで食事をしたり、パーテーションがあるお店に足を運んだりするかなと思います。
ちなみに、新型コロナウイルス感染症対策専門家分科会の尾身茂会長は、食事を一緒にするのは家族やいつもの仲間だけに、と呼びかけています。最近の研究で、比較的少人数、4人以下とか、いつもお付き合いしている仲間・家族であれば感染のリスクが低いことがわかっているそうです。
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BuzzFeedNews:新型コロナ分科会、尾身会長が繰り返し強調したこと。
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■感染リスクを減らし どう楽しむか
筆者は大学4年生です。コロナ禍さえなければ、今頃卒論を提出し終えて、海外旅行にでも行っていたと思います。残り3か月の貴重な学生生活、どう過ごしていこうかなと迷っています。
一度感染しても、再びかかることもあると聞きます。油断はできません。感染してしまうことは仕方のないことですが、できるだけ防ぎたい。1人陽性者が出ただけでも、保健所は多岐に及ぶ対応に迫られます。まずは陽性者に連絡。その後、すべての濃厚接触者に連絡し、体調の変化や行動歴、PCR検査を受けるかなどの細やかな聞き取りがあるのです。PCRを受けるのなら、その後の手続きも欠かせません。濃厚接触者が管轄外に住んでいる場合には、その人が住む保健所への引継ぎも必要です。陽性者がホテル療養を希望する際はホテル事務局にも、入院を希望する際には医者や看護師などさまざまな人に連絡がいきます。
医療関係者にこれ以上の負担を負わせないよう、医療崩壊が起きないように1人ひとりの感染しない心がけが大切でしょう。
▲井の頭̪恩賜公園。散歩をしたときの写真、友人撮影。
とはいえ、家でじっと過ごすのも…。そう考え、最近は少し出かけるようにしています。年末は友人と公園に散歩に行き、キャッチボールをしました。つい先日も別の公園を散歩しました。お正月は毎年親戚10人以上で顔を合わせますが、今年はオンライン会議システム「ZOOM」で。祖父母の表情を見ることができましたし、意外と楽しめました。
感染しない、させないことを目標にどう楽しむか、試行錯誤が続きます。
■もしもコロナに感染したら
とたんに外出ができなくなります。自宅療養の場合は、都は配食サービスを行っていますが、どんなものが入っているのかホテル療養をしていたので確認できませんでした。保健所の説明では、レトルト食品などだそうです。買い占めを奨めているわけではありませんが、いつだれが感染するかわかりませんので、家に食料がない状況は避けた方がいいでしょう。食料やポカリスエットなどの清涼飲料水などを常備しておけば心強いのでは。
▲埼玉県草加市の草加保健所が自宅療養の感染者に送る食品。朝日新聞デジタル「鳴りやまぬ電話、重なる業務『保健所も機能停止の恐れ』」より。
発熱など、異状を感じた場合には、かかりつけの病院に相談を、と厚労省は呼びかけています。風邪の症状は要注意だそうです。かかりつけ医がない人や、土日、夜間でかかりつけ医が休診しているときは、都道府県などの自治体が設ける電話窓口に相談します。
私の場合はかかりつけの病院が休診日だったので、近くの別の病院に電話をかけて指示を仰ぎましたが、自治体が設ける電話窓口に相談すべきだったようです。かかりつけ医が診療・検査医療機関でない場合でも対応できる機関が紹介されます。
■医療従事者への感謝の気持ちと想像力
さまざまな人に支えられて復帰しました。軽症だったこともあり、病院を訪れたのはPCR検査をした1度だけ。その後は保健所の職員、ホテルまでの送迎を担当してくださった運転手さん、ホテルの事務局スタッフ、24時間常駐している看護師の方々にお世話になりました。顔を合わせたり、電話越しでの優しい声を耳にしたりすることで、どんなに救われたことでしょう。
重症ならば、入院になり、さらに多くの医療スタッフの手を借りなければなりませんでした。いま報道を見るたびに、多くの人たちの顔や声が思い出されます。コロナになる前までは、その想像力が欠如していました。最前線で懸命に治療にあたる医療従事者やその家族に心無い言葉や差別の目が向けられることがあると耳にしました。いつ自分が感染してもおかしくない状況の中で、戦ってくれている人のことに少しでも思いをいたせば、そのような振る舞いなどできるわけがありません。少し落ち着いて、思いを巡らすことを大切にしたいと思います。
いつだれが感染するかわかりません。自分がもし感染したら。そのことを考えてみることをお勧めします。誰もが安心して暮らせる日々が早く来てほしい。早くコロナが終息しますように。
闘病中に参考にしたサイトです。特に、東京都保健局の方は、ホテル療養のときの注意事項などが書いてあり、何度も確認しました。
厚労省HP「新型コロナウイルスに関する相談・医療の情報や受診・相談センターの連絡先」
東京都福祉保健局「新型コロナウイルス感染症に関すること」
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今回は3回にわたる学生記者のコロナ闘病記です。学生目線でありのままを書いてみました。
「身近に感染した人がいなかったから、現実味を帯びた」「体調はもう大丈夫なの?」など温かいお言葉をいただき、改めて感謝を申し上げます。有難うございました。
私は4月から記者になります。今回の経験を糧に、コロナ問題を取材していきます。
参考記事:
朝日新聞デジタル12月20日6時00分「鳴りやまぬ電話、重なる業務『保健所も機能停止の恐れ』」
BuzzFeedNews12月24日「最も注意すべきは家庭内感染ではない。新型コロナ分科会、尾身会長が繰り返し強調したこと。」
5日付読売新聞朝刊(東京14版)1面「緊急事態宣言7日にも」「医療立て直し 早急に」
5日付読売新聞朝刊(東京14版)3面(総合)「社説 危機感の共有で感染症抑えよ」