明けましておめでとうございます。まさに「激動」という言葉が当てはまる2020年が終わり、新たな年が始まりました。例年とは違う場所、思いで年越しを迎えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。筆者も帰省は控え、こたつの中で新聞を開きました。
元日3紙の社説には、変動の真っただ中にいる日本が挑むべきことが示されています。
<日本経済新聞 2021年を再起動の年にしよう>
コロナがあぶり出した課題解決に向け、「再起動」を強調しました。再起動すべき課題として挙げるのは、①経済、②民主主義、③国際協調の三つ。
①業種、地域、雇用形態の違いによって生まれる格差に対する政府の目配り。デジタル化、雇用市場の改革を推進する
②日米欧などの民主主義国家が社会問題を民主主義的な手法で解決し、自由な民間主導の資本主義を磨き直す
③コロナや地球温暖化対策といった国際問題に積極的に参加する
③で触れた温暖化問題については、1、6、7面でも大きく扱われています。温暖化ガスを減らし、それを森林が吸収することで実質的な排出量をゼロにする「カーボンゼロ」。世界企業が二酸化炭素排出量を抑える新技術の開発に挑むなか、日本も50年までに達成すると宣言しました。日本においても「地球に優しい技術」の導入が主流になることでしょう。
<朝日新聞 文明への問いの波頭に立つ>
①核兵器、②環境問題、③コロナを世界規模の問題とし、それらに立ち向かう際に必要な共通点を挙げています。「自分が当事者だと自覚すること。人を思いやること。結末を想像すること。そして行動に移すこと」。
①今月発効される核兵器禁止条約に、日本は背を向けている
②経済の再生を気候変動への取り組みと連動させる「グリーンリカバリー」が世界的に注目されている。経済のみならず環境にも目を配り、二兎を追う
③デジタル化によって、対面労働に携わるエッセンシャルワーカーとの間に格差が生まれる。医療崩壊が起きた地域もある
朝日新聞は1、2面で、②の環境問題について触れています。現在連載している「共生のSDGs」では、人間の活動がコロナで制御されたことでベネチアの環境が浄化されたことを紹介しています。
<読売新聞 平和で活力ある社会築きたい>
他2紙が感染抑止と課題解決の両立を掲げましたが、感染拡大を抑えることが最優先だとしたのが読売新聞。シンクタンク(新経済思考研究所)の論文から「経済を救うには、まず人を救え」と引用し、そうすることが順調な経済活動につながるとしています。読売新聞のみが触れた話題として①人材流出、②教科書のデジタル化、③政治の信頼が挙げられます。
①優れた技術を持った人材が国外に流出している。技術者、研究者を大切にしない企業風土があるのではないか
②行政手続きにおけるデジタル化は必要だが、教科書のデジタル化は本末転倒も甚だしい
③日本の立場について国際社会の理解を勝ち取るための、対外発信力が不可欠。国民も政治に対ししっかりとした意見を持たなくてはならない
①の人材流出について、1面トップで中国の人材招致プロジェクト「千人計画」に少なくとも44人の日本人研究者が関与していたと特報しています。日本政府は政府資金を受けた研究者の海外活動について原則として開示を義務づける方針を固めたとしています。
各紙の主張は様々ですが、共通しているのはコロナによって明るみになった数多の問題に対し日本がなすべきことでした。パンデミックという大きな壁に目を向けるだけだった昨年とは違い、今年は問題解決の糸口を見つけ、打開する年にしなければなりません。
大学4年生になる筆者にとって2021年は、決意の年。地元福岡から夢を抱き上京したこと、大学で学びたかったこと、挑戦したかったこと。全ての決意に今一度向き合う。そして夢を現実にするまでは、後ろを向くことはありません。
参考記事:
1日付日本経済新聞朝刊(東京13版)1面「脱炭素の主役 世界競う」、関連記事2、3、6,7面
同日付朝日新聞朝刊(14版)1面「コロナ下 ベネチアは澄んだ」、関連2、11面
同日付読売新聞朝刊(東京13s)1面「中国「千人計画」に日本人」、関連記事3面