2時間張り付いたコインランドリーは、洗剤を使わない

洗剤も柔軟剤も使わないコインランドリーをご存じですか。では、何で洗うのか。アルカリイオン水です。アトピー性皮膚炎の患者らが洗剤によるかゆみなどに悩む現状を踏まえ、原因となる化学合成物質を含まず強い洗浄力のあるアルカリイオン水が使われています。体に優しく、排水による環境への影響も少ないそうです。先月末の毎日新聞で紹介されていたことから、足を運んでみました。千葉県を中心に展開されており、自宅から一番近い「wash+中葛西店」を訪れました。

入り口には人型ロボットのペッパーくんがいる。「ペッパーくんだ!」と手を振って通り過ぎる人が何人もいた。筆者撮影。

そもそもなぜ興味を持ったのか。私自身が最近匂いに敏感になっていると感じたからです。コロナウイルスの影響で、最近ではどこのお店でも、入り口でアルコール消毒液やジェルが置いてあります。アルコールそのものの臭いは気にならないのですが、ジェルタイプのものはローズなどの人工的な香りをつけたものがあります。アルコールの臭いを消すためですが、それが苦手です。

さらに、7月22日の朝日新聞で紹介されていた、化学物質過敏症の人の話が印象に残りました。アルコール消毒液の飛沫で、歯茎やのどが腫れ、呼吸が浅くなるそうです。香りに敏感な人だけでなく、アレルギー反応が出てしまう人がいることを知りました。

化学物質過敏症の人は周りにはいません。ただ、以前スポーツジムでアルバイトをしているときに、柔軟剤の臭いで鼻血が出ることがあって困っている利用者の話を聞いたことがあり、コインランドリーの試みに興味を持ちました。

今日は午後3時から2時間にわたって観察しましたが、その間に8人が訪れました。うち5人に利用理由を尋ねてみました。期待していたのは、洗濯洗剤が肌に影響を与えるのが怖いためや、子どもの触れるものは安全なものにしたい、といった反響でしたが、実際は、「近所だから」「きれいだから」ばかりで驚きました。洗剤を使っていないということは知らない人もいたくらいです。

洗剤を使っていないからという理由で選んできている人には会えませんでしたが、私の母は洗剤、柔軟剤を使わないコインランドリーが近所にあれば利用したいと言っています。柔軟剤の臭いが苦手だからだそうです。母のような人は目につかないだけで、一定数はいるのではないかと思います。

帰りに寄った電気屋さんでは、入り口のアルコールスプレーのところに、「肌の敏感な方はご注意ください」と書かれていました。このような少しの配慮が大切なのかもしれません。

化学物質過敏症の方は、洗剤や柔軟剤を利用していないコインランドリーでも、柔軟剤を普段使っている洗濯物を一度でも洗った洗濯機では、症状が出てしまうかもしれません。利用できない可能性があるだろうと想像しますが、私のような臭いに敏感な人であれば、利用したくなります。選択肢の一つとして、街に一つでもあったらいいのに。そう思いました。

参考記事:

7月22日付 朝日新聞朝刊32面 (新型コロナ)検温・消毒、困っている人がいる 平熱37度「出社止められそうに」

9月21日12時30分 毎日新聞デジタル版「洗剤使わないコインランドリー 人や環境に優しく アプリで空き状況確認も」

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