大学スポーツ、ここが変わった

来夏開催が予定されている東京五輪に関して、経費削減とコロナ対策を見据えた簡素化が52項目で実施されることとなった。選手以外の大会参加者の10~15%削減や慣例行事である選手村への入村式の中止など。このようなコロナ対策を目的とする簡素化は、大学スポーツでも見られる。

 

東京モノレール大井競馬場駅で下車。そこから歩いて20分のところに「大井ホッケー競技場」(品川区)はある。昨年6月に完成した東京五輪施設だ。1年延期したことを受け、東京都は新設した競技施設の貸し出しを始め、ここもその対象。筆者は先週、秋季関東学生ホッケーリーグ初戦に参加するため出向いた。

試合が行われた大井ホッケー競技場サウスピッチ(19日筆者撮影)

 

春季は残念ながら中止になった学生ホッケーリーグ。約9か月ぶりの晴れ舞台は、コロナ感染対策のため、大きな変化が。全ての試合は、関東学生ホッケー連盟が作った新型コロナウイルス感染予防マニュアルに沿って行われる。特に選手に影響した変更点について挙げていく。

 

・無観客試合

試合に出場する大学関係者以外の立ち入りが禁止となったため、保護者、OB・OGの声援を直接聞くことができなくなった。選手に届く声援が少なくなったことで、これまでとは打って変わって静かな試合となった。

 

・ボールサーバーを置かない

ボールサーバーとは、サイドラインからボールが出てしまった際にコートの外からボールを転がす補助員のこと。ボールサーバーがいることで、コート内の選手はすぐに試合を再開することができる。学生ホッケーリーグでは、その試合に参加していない他大学の学生が行う。しかし3密を避けるため、ボールサーバーを配置せず、代わりに24個の試合球を散らばせる形式に変わった。選手がボールを探す手間がかかり、試合が動かない時間が生まれてしまった。

 

・得点時のハグ、ハイタッチの禁止

選手同士が得点への喜びをハグやハイタッチで表現するのが今までの試合。過度な密着を避けるため禁止となった。他チームでは選手が思わずハグをしそうになり、急いで離れるシーンも。

 

感染対策、選手が心地よくプレーすること、そして勝つ喜びを全身で表現し、周りと共有すること。これらを1度に実現することは新常態においては非常に難しいと実感した。簡素化も含め、世の中と共に変わりゆくスポーツの形に、私たちも付いていかなければならない。

 

参考記事:

25日付朝日新聞朝刊(東京14版)17面(スポーツ)「秋の高校野球有観客試行」

26日付朝日新聞朝刊(東京14版)3面(総合3)「五輪簡素化52項目で合意」

同日付日本経済新聞朝刊(東京12版)3面(総合2)「五輪簡素化で準備前進」

同日付読売新聞朝刊(東京13版)34面(社会)「五輪簡素化IOCと合意」