ハンコ文化は”悪しき風習”?

 河野行政大臣は、行政手続きでハンコを使用しないよう全府省に要請し、廃止できない場合には理由を明示するよう求めました。

テレワークなど新しい働き方が浸透しつつある中、捺印のためだけに出社するという方の話もSNSなどで話題になることも多く、脱ハンコを宣言し電子サインの利用を推進する企業も増えているそうです。
 ある電子サインを導入した企業の方の話によると、ハンコで契約を行おうとすると紙の契約書を取り交わす際、紙の印刷や郵送などコストが発生します。その期間、約1週間もかかるそうです。それが、電子サインですと最短1日でできます。時間的にも大きくコストダウンできることがわかります。
 契約で、意思決定でなく事務作業で時間がかかってしまい前に進まないことや、せっかくのテレワークが推進されている今、これが原因で働き方の選択肢が狭まってしまうことはもったいないと感じます。
 働き方改革を進めるうえで、電子サインは一つのカギになるでしょう。

 こうした作業をストレスに感じ、電子サイン化に賛成する方はいるのですが、議論の際に「ハンコ文化は悪しき風習」と主張し反対派の方に強く攻撃する人もいました。もちろん新しいやり方にメリットを感じるなら導入を検討するべきです。
しかし、何でもかんでも「手間は悪。」「時代についていけないのは悪。」と切り捨てることに違和感を感じます。

 例えば医療の現場で患者が契約ができない際に家族が代わりに捺印することで効力を持つことができるというメリットもあります。また、様々なデザインがあるハンコに良さを感じる人がいたり、紙という安心感、データに対する不安を持っている方はまだ多くいらっしゃいます。

ハンコに限らず、今マナーや仕事のやり方に疑問視が向けられています。仕事がどんどん効率化すること、個人の選択がより自由になることはとても素晴らしいことです。よりストレスフルで働きやすい環境で働くことを望みますし、時代の流れに合った判断は必要だと思います。
 
 しかし、「古き良さ」と感じる人の感情を抱く人を「めんどうだから」の一言で不用意に傷つけてはならないと感じます。