同性婚 容認よりまず議論を

単刀直入に伺います。

同性婚について皆さんはどうお考えですか。賛成、反対、想像できないなど、多様なお考えがあるでしょう。日本ではあまり大きな議論に発展はしていませんが、海の向こうでは大きな司法判断がありました。今回は非常にデリケートですが、我々の社会を考える以上、重要なテーマです。今日は同性婚について考えていきたいと思います。

26日、米国の連邦裁判所は全ての州での同性婚を認める判決を下しました。婚姻制度の社会における重要性を強調し、同性カップルがその恩恵を受けられないことは不当な差別だと結論づけました。これで米国は21番目の同性婚容認国です。5月の米国内の世論調査では、賛成60%、反対37%と調査開始から最高を記録したことから、世論や社会の結婚に対する認識が大きく変化し、世論に沿った判決だと紙面では述べられています。大国の判決を受け、世界的な同性婚容認の流れが一層拡大するとみられる一方、9人の判事のうち、4人は反対に回ったことや南部のアラバマ州の判事からの反発やノースカロライナ州では、登記官や判事が同性婚の婚姻手続きを拒否できる内容の州法を成立させ、州司法長官が最高裁判決に反対する声明を発表するなど、「信仰の自由」を理由とした米南部の保守層からの反対も根強く、まだまだ完全決着とはいかないようです。

2001年にオランダで合法化されて以降、徐々に広まりを見せ、渋谷区でも3月に同性パートナーシップ条例が可決・成立するなど、若年層を中心に日本でも認められるようになってきました。「オネエ」と呼ばれるタレントがメディアに頻繁に登場していることからも、世論の嫌悪感も薄れつつあるようにも感じています。

このような書き方をしていると、「同性婚を日本でも認めよう!」や「世界中で同性婚を合法化しよう!」という流れになるとお考えの方、少なくないかと思われます。ですが、筆者は安易に同性婚を認めていいのだろうかと疑問を感じています。確かに個々人の自由は最大限尊重されるべきです。婚姻についても認められるべきでしょう。ですが、自由の国である米国でも3割がまだ反対で、宗教的な立場からの反対も根強いです。国によっては同性愛が重罪、死刑の対象とされる国も存在しています。今回の米国の判決によって同性愛を違法とする国々で反動的な施策が施行される危険性や、日本のように同性愛の議論がここ数年前から行われているような国では、議論の土壌が養成されていないことや価値観に関わる問題である以上、いくら法整備を進めても社会全体で同性婚を認めようという風土には至らない可能性が考えられます。世代別の認識の差によるものも大きいでしょう。

このような観点から、「勢い」で同性婚を認めるべきではなく、法整備を進める前に同性愛者を社会的に守る意味でも国家全体での議論が必要なのではないでしょうか。宗教を重んじる国であれば、合法化しないという判断も許容されるべきだとも考えています。今回の投稿は価値観に関わるものであり、賛否が分かれるでしょう。判決に同調的な執筆をし、世界的な潮流に異を唱えないでいるのは簡単です。ですが、安易な同調は自分たちの国や社会について考えていないことと同じではないでしょうか。

参考記事:28日付 朝日新聞(東京14版)9面(国際面)「同性婚容認 恩恵 全米に」                                 読売新聞(同版)2面(総合面)「同性婚 保守派が抵抗」