「迷惑系Youtuber」は存在しない

移動して人を集めて一方的に接触する。そうした行為をすること自体がとても信じられない。一体なんてことをしてくれるんだ。

村岡嗣政山口県知事による会見の一幕です。怒りに声を震わせている姿が印象的でした。「へずまりゅう」と名乗り活動する男性の迷惑行為。それによる被害は計り知れません。

報道される同男性の行動を見るたびに閉口してしまいます。首里城復興を願うメッセージボードへの落書き。会計前のお刺身を食べる窃盗行為。悪びれる様子もなく楽しそうにしている顔が忘れられません。

しかし、迷惑行為はここで終わりません。さらに問題となったのは窃盗容疑で逮捕された後のこと。新型コロナウイルスの感染が判明したのです。行動経路をたどると、マスクもつけずに県をまたいで多くの人と接触していることが発覚。同男性との関連で感染した人は、20日時点で山口県3人愛知県7人の計10人にのぼります。1人の軽率な行動が大きな混乱を招いています。同男性は、自分がした過ちを猛省すべきです。

さて、ここまで記事を書きましたが、あえて出さなかったワードがあります。「迷惑系Youtuber」です。同男性は、「迷惑系Youtuber」を自称しており、ネットニュースなどでもこのように報じられることがあります。

しかし、この表現は適切ではありません。Youtuberのカテゴリーに、「美容」「バラエティ」「教育」はあっても「迷惑系」はないはずだからです。

たしかに、炎上商法で稼ぐ動画投稿者がいるのは事実です。ですが、今回のように「迷惑系Youtuber」とまとめては、そのカテゴリーが黙認されているように思えてなりません。

視聴者のためになる動画を。そう思って頑張ってきた人がいるからこそ、10年ほど前メジャーでなかった「Youtuber」は、子どもがなりたい職業ランキングの上位にランクインするまでになりました。彼らの努力で確立した「Youtuber」という職業を汚さないために。「迷惑系Youtuber」という表現はなくすべきではないでしょうか。

 

参考記事

20日付 朝日新聞DIGITAL「ユーチューバー『へずまりゅう』関連の感染7人 愛知県」

参考資料

7月20日 西日本新聞 「『へずまりゅう』、相談相次ぐ」

7月18日 週刊朝日オンライン限定記事「迷惑系Youtuberのへずまりゅう容疑者の滞在先でコロナ感染拡大 捜査員、留置所収容者も」