中大運動部の思い

7月16日、中央大学運動部内でクラスターが発生したと公表された。まずフィールドホッケー部に所属する筆者を含む運動部員は、どの部で感染者が出たのか全く分からなかったということを書いておく。また、クラスター発生に対する誹謗中傷の声を耳にした。中には部が合宿所を利用しているという記載から、「今合宿を行うとは何事か」と一部から勘違いされたようだ。ちなみに現在、全運動部は、合宿を禁じられている。つまり合宿中の感染ではないと確認しておきたい。

 

<16日の出来事>

16日昼頃、自主練のためグラウンドに向かった部員が警備員に止められた。「運動部内でトラブルがあったから、大学構内は使えない」。その部員は、「自主練に向かうプレイヤーは構内に立ち入らないように」と部の全員に知らせた。ただならぬことが起きたと思った。信じたくはないが、もしかしたら誰かがコロナに感染したのかもしれない。その夜大学が公表したのは、筆者の想像をはるかに超える事態だった。運動部寮内で11人に及ぶ感染者が確認された。同時に全ての運動部全体の練習全面自粛、後期オンライン授業の指針が発表された。

 

<ネット上の批判>

「対面授業も、サークルもできないのに、運動部は部活して感染か」「体育会系はコロナにかかっても平気だと思っているのか」「感染したのは〇〇部ではないか」

ネット上の声を見た部員が言った。

「俺らが悪いのか、そう言われている気分」

胸が痛んだ。そう思われるのも致し方ないのかもしれない。ただ、何気ない言葉が、部員や筆者に向けられているようでやるせなくなった。

大学が活動再開を許可したならば、運動部員は活動しないという選択肢はない。どれだけ不安でも、感染が怖くても。その競技で勝つために日々汗水垂らすことが、運動部員になることを決めた我々の宿命だからだ。練習の成果を発揮する舞台は、コロナの影響でなくなるかもしれない。現になくなった部もある。それでも活動を続ける。運動部員だから。何の悪気もない、ひたすらに競技に打ち込む運動部員をどうか批判しないでほしい。
 

<目指すべき社会>

感染経路がどうであれ、感染者は非難の矢面に立たされる。偏見を恐れ、闘病生活がどんなにつらいものか声を上げることさえできなくなっている。誰が、いつ感染してもおかしくない。その誰かが世間の目から守られる日は来るのだろうか。今の社会、SNS環境は、それとは程遠い。

私たちがするべきことは、感染者の回復を願い、これ以上感染が拡大しないように努めることだ。想像を膨らませ、誰かを批判することではない。憶測はあくまでも憶測。事実ではない。
 

 

参考記事:

22日付コロナ関連記事

6月4日付朝日新聞(13版)17面「差別から感染者守るべきだ」