変わる就活、個人を見て

<大学3年生の不安>

高校の友人と数か月ぶりに電話したとき、就職活動の話になりました。彼女は、自分が就職に不利になるかもしれないと心配していました。彼女が通う京都産業大学は学内に数十人のコロナウイルス感染者が出てしまったことから、大学には抗議の電話やメールが寄せられています。キャンパス周辺の飲食店では「京産大生お断り」というビラが貼られ、店頭で学生証の確認を強制された学生もいるそうです。「京産」と調べると次に「コロナ」と出るほどに、そのイメージは強いものになっています。

「感染したのは卒業生だから自分は関係ないと思いたいけど、大学の教育が行き届いてないとレッテルを貼られるかもしれない」

友人が生まれ育ったのは福岡県。京産大を知る人が多い関西での就職を考えていたが、今それが逆効果になるのではないか。それに加え、将来を考えて選んだゼミや参加予定だったインターンシップの延期が決まり、何もできない状況が彼女の不安を掻き立てます。

 

<就活生の不安>

現在就職活動中の男子学生は、オンライン面接の欠点を挙げています。

「対面じゃないとやっぱり自分を表現するのが難しい。直接だと伝わるものも、オンラインだと伝わらないかも。少しでも熱が伝わればといつも以上に声を大きくしている」

画面を通しての面接に、学生側はもちろん企業側も不安を感じています。九州大学では、インターンシップに参加した生徒がその企業から内定の話を持ち掛けられるケースが増えているそうです。書類やオンライン面接だけでは、人となりは分かりにくいでしょう。だからこそ直接会ったことのある学生を取り込んでしまいたいという会社の思いも分かります。ですが、企業説明会やインターンシップなど参加したくても参加できなかった学生も少なからずいるのではないでしょうか。

 

<個人を見て>

コロナウイルスの影響で、就職活動は変わりつつあります。私たち学生は、企業がどういった基準を持って自分たちを見ているか分かりません。その基準にどのようなものが含まれていても、限られたチャンスの中で自分をアピールするしかありません。在籍する大学、インターンシップ参加の有無は企業が採用を考える上で重要なことかもしれません。ですがそういった外形的なことばかりではなく、個々の個性、努力、パーソナリティを重視してほしい。全ての会社がそうであることを切に願います。

 

参考記事:

10日付朝日新聞朝刊(東京13版s)3面(総合3)「就活一変 戸惑う学生」