来年はゲンカイツツジを見に対馬へ

 

地元対馬から上京をして1か月ちょっと。中学時代から県外で寮生活を送ってきた筆者にとって、この程度でホームシックにかかるのは早すぎます。しかし、今はどうでしょう。帰省したくてたまりません。これほど地元を遠く感じたのは初めてです。

新型コロナウイルスの感染拡大を初めて感じたのはまだ対馬にいた頃でした。忘れもしない先月14日。長崎県初の感染者が確認されたと思ったら、壱岐の方だと聞いてびっくりしました。島は良くも悪くも閉鎖的な空間。感染した人が偏見の目を持たれないか心配していました。

それと同時に壱岐は対馬と博多の間に浮かぶ島でもあります。船を利用する際は必ず壱岐に立ち寄るので、対馬にも濃厚接触者はいないかとびくびくしていました。15日の夕方ごろ、町内放送で濃厚接触者となった乗船者を探していたのを鮮明に覚えています。あれほど真面目に聞いたのは後に先にもないことでしょう。

なお一層、新型コロナウイルスと離島について考えるようになったのは毎日新聞のホームページで記事を読んでからです。離島の感染者を島外に搬送しようと、県や長崎海上保安部、長崎大病院の医師らが手順を確認したことを伝える記事には1枚の写真が。いくら訓練とはいえ身体全体を感染防止用のビニール袋で覆われた姿を見ると何とも言えない思いがしました。

また対馬市は昨日、YouTubeに動画もアップしました。市民の間で入島制限が出来ないことへの不安の声があがっていること。高齢者が多く、医療体制が脆弱な中で、日々、市内から感染者が出ないことを願いながら生活していること。ふるさとが僻地であることを改めて感じることになりました。

SNSを見ていると「3密じゃないから大丈夫」と魚釣りに行く人を見かけます。対馬も魚釣りをするには持って来いの場所。だからといって今、来るのはよしてほしいなと地元を離れた身として強く思います。帰省したくても出来ない人もいる。そのことを頭の片隅にでもいいから覚えていてもらえると嬉しいです。

島で育った者たちの多くは進学や就職をきっかけに外に出ます。しかし、気持ちは地元にあり。「夏は帰れたらな」、「せめてお正月は…」と日々地元に思いを馳せています。博多港から厳原港まではフェリーで約5時間。年に何度も帰省できる距離じゃないからこそ地元愛は強いのです。

 

 

我が家の晩御飯。とんちゃんは右。22日、筆者撮影

いつか帰れるその日まで両親が送ってくれた対馬のB級グルメとんちゃん食べながら東京にいます。今年見られなかったゲンカイツツジが来年は見られますように。全国に住む離島出身者が同じように島に帰れますように。そして多くの観光客が遊びに来てくれますように。願いは尽きません。

 

参考記事:

朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞 新型コロナウイルス関連記事

参考資料:

※離島に関する記事を紹介しています。文中で言及していないものもありますが、離島と新型コロナウイルスについて多くの人に知ってもらえると幸いです。

対馬市公式ちゃんねる「新型コロナウイルス感染防止における対馬市からのお願い」

4月11日毎日新聞「新型コロナ 感染者搬送に備え 巡視船で離島から、県など手順を確認 長崎港岸壁」

4月22日毎日新聞「小さな離島の苦悩「今は来ないで」 新型コロナ終息後使える「こんど行く券」発売」

4月21日沖縄タイムス+プラス「広がる来島自粛要請 沖縄の離島 感染対応整わず危機感」

4月22日沖縄タイムス+プラス「石垣島の観光名所11カ所を閉鎖 いまだ訪れる観光客、市長「これしかないという思いだ」」

4月21日テレビ長崎新型コロナ「長崎県の離島も 渡航自粛で関係者から悲鳴」