コロナウイルスと共に広まるインフォデミック

 世界規模で感染拡大が止まらない新型コロナウイルス。このパンデミックと同時に世界中で広まっているのが、誤った情報(information)の流行(epidemic)、つまりインフォデミックだ。

 2020330日、「4月から東京がロックダウンされる」との噂が流れた。その日の夜に小池都知事が緊急会見を開くと報道されたため、このようなデマが広がったと考えられる。私も友達からLINEで受け取り、不覚にも一瞬信じてしまいそうになった。その友達も別の知り合いから情報が回ってきたようで、「ロックダウンされる前に必要なものを買っておくといいよ」と好意で私に伝えてくれたのだ。

 こうした悪意のない一言が、社会的混乱を招くことがある。新型コロナウイルスという未知の脅威だけに、耳に入る情報すべてを頼りにしたくなるのは仕方ないのかもしれない。だが、信憑性のない情報に惑わされてしまえば、無用な混乱に拍車がかかるだけである。

 コロナウイルスの感染拡大に伴い、「ウイルスが水道水に混入して健康に悪影響が出る」「ビタミンDが効くらしい」などといった根拠のない情報も広まっている。こうしたデマによる混乱を避けるために、3年前に設立されたファクトチェックの普及活動を行う非営利団体「ファクトチェック・イニシアティブ」は特設サイトで関連した情報の真偽を検討し、公表している。人々が不安に駆られている今こそ、これまで以上にファクトチェックの重要性が問われてきている。

 毎年41日に大胆なジョークを披露することで有名なGoogleも、今年は「新型コロナウイルスのパンデミックと戦う人々を尊重し」、エイプリルフールを自粛した。

 パンデミックを肥やしにして蔓延するインフォデミック。ウイルスという目に見えない敵との戦いだからこそ、自分で情報源を確認し、正しく恐れる姿勢を忘れないようにしたい。そんなことを考えたエイプリルフールだった。

参考記事:

2日付 朝日新聞、読売新聞朝刊 新型コロナウイルス関連記事

2日付 朝日新聞デジタル「コロナの情報混乱と向き合う 放射能の脅威と違うのは…」

参考資料:
ファクトチェック・イニシアティブ「新型コロナウイルス特設サイト」