急増する感染者 見えない敵と戦うには

東京五輪延期。外出自粛要請。連日記録が更新される新型コロナウイルスの感染者数。得体の知れないウイルスに、様々なイベントも楽しい外出の予定も奪われました。急増する感染者の数を見て、多くの人々が不安を感じています。

一方で、感染拡大を予防できる理想的な行動を取る人はそこまで多くはないでしょう。とくに、今週は卒業式がなくなっても袴を着て大学に写真を撮りに行く卒業生がたくさんいました。愛する子どもと共に門出を祝うご両親の姿もありました。皆さんのなかにも、袴姿を見かけた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

学生生活最後の卒業式。友人と写真を撮りたい。借りた袴を着ずに終わるのはもったいない。社会人になったら、もう気軽に集まれないから会いたい。どの気持ちも理解できます。筆者も彼らの立場だったらすべてを諦めると言い切ることはできません。「危機意識が足りない」と責める気にもなれません。でも、マスクもつけずに人が集まることは歓迎できません。世界では、外出したら罰金を科されるところもあります。人が密集することはご法度なのです。

彼らも理屈は分かっています。例年ならただお祝いムードを味わえるのに、どこか後ろめたい思いも抱え、お互いの門出を祝ったことでしょう。それでも自粛にまで至らないのは強制も罰則もないからです。

外出自粛が要請された今週末。確かに、出掛ける人は減りました。しかし、まだ不要不急の外出をする人はいます。だからこそ、オーバーシュート、つまり感染爆発をしていない今から強硬策を取るべきと思ってしまいます。「ぎりぎり持ちこたえている」などと言っている場合ではないと思います。各国の状況を見て分かるように、「ぎりぎり」の時期を過ぎてしまってからでは遅いのです。

とはいえ、首都封鎖などは経済にも家計にも大打撃を与えるのは目に見えています。「ぎりぎり持ちこたえている」段階を超えるまで踏みきれないのも事実です。となると、やはり一人一人が自分をコントロールすべきなのでしょう。強硬策がないと、出掛けてしまうなどという考えは甘いのでしょう。

まだ特効薬のない新型コロナウイルス。姿の見えない敵に立ち向かう私たちに求められているのは、基本的な予防策をすることです。出掛ける頻度はなるべく減らす。片っ端から買いだめするのではなく、必要な分だけ買う。手洗い、うがいは徹底する。筆者の大学は、5月授業開始予定です。その頃には、元気に友人と再会を喜べるように。今は、静かに過ごしたいと思います。

参考記事:

29日付 日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞 新型コロナウイルス感染症関連記事