スポーツの裾野は幅広い。今までは、全般的な振興、基本計画の推進などは文部科学省。生活習慣病対策などの健康づくり、障害者や高齢者の活動振興などは厚生労働省。スポーツツーリズムの推進などは観光庁。また、国土交通省は都市公園などを整備・管理する。外務省は……、と関連する各省庁がバラバラに所管していました。しかしこれからは関連する政策を一体で推し進めることになります。
さまざまな施策を総合的に推進するスポーツ庁を文部科学省の外局として設置し、競技水準の向上や関連する行政機関の調整などに当たらせるとした改正文部科学省設置法が、13日の参議院本会議で全会一致で可決され、成立しました。いよいよ10月にスタートします。
五輪準備の看板組織に(日経)
縦割り排し メダル量産(読売)
スポーツ庁と聞いたとき、5年後の東京オリンピックの成功、もっと言うならメダルを獲得するためだけの組織のように感じました。スポーツは勝ち負けだけではないでしょう。私自身は運動部に所属していなかったので、競い合う側面ばかりが強調されるのが苦手です。もちろん健康のためにはいいですし、多くの人とコミュニケーションをとれる面でも魅力があります。
東京五輪のあった1964年度から続く「体力・運動能力調査」。半世紀に及ぶ調査で、五輪が国内で開かれた後では小中学生の体力が向上する傾向があると分析されています。今度のオリンピックでもスポーツの機運が高まるでしょう。スポーツ庁は長期的に日本のスポーツ振興を広く推進する組織になってもらいたいものです。
そのために行政に関わる国や都道府県、市町村など幅広い関係者の役割分担が必要だと考えます。民間の力を十分に活用しながら、行政が効率的に関わる仕組みを検討することが重要です。また、地域の予算、人材は限られています。国は、地方自治体の特徴を活かす地域独自の取り組みを支援する体制を構築すべきです。
読売新聞の連載「SPORTS IN LIFE 検証 子供の体力」では各自治体の地域における取り組みを紹介していました。 態勢は地方自治体によって違って当然です。それぞれがやりやすい形であることが重要ではないでしょうか。地方自治体に委ねて、その地域が作った計画に経済的、人的な支援をすることを望みます。
参考記事
14日付 朝日新聞朝刊 (東京14版)4面「スポーツ施策 「司令塔」10月発足」
14日付 日本経済新聞朝刊 (東京14版)4面、37面
14日付 読売新聞朝刊(東京14版)3面、25面
5月8日付、9日付、10日付、12日付、13日付、14日
読売新聞 東京朝刊 連載「SPORTS IN LIFE」検証 子供の体力