X-DAYは「ダブル安」で回避できるか

昨年2月に私が担当した投稿「X-DAY、トリプル安の恐怖」。冒頭はこう始めました。

20XX年X月X日。日本を「トリプル安」(株安・国債安・通貨安)が襲い、日本史上最大の恐慌が始まる。

日本国債の信用は地に落ち、金利が暴騰。円や日本株は売りに売られ、企業や金融機関は大混乱に陥る。日本経済にとって最悪の事態「X-DAY」が将来やってくるのではないかと、警鐘を鳴らしました。「財政の問題は真剣に考えるべき」「杞憂だ」。様々な意見が寄せられました。

投稿から1年余り。この「○○安」の一つが日本経済には追い風となっています。「原油安」です。輸入国である日本にとって、原油が安くなることはプラスに働きます。燃料費や原材料費が低下し、その分、消費や生産も勢いを増します。さらに、円安傾向も景気を後押ししています。円安は輸出に有利。日本のモノが海外で安く売れるためです。輸出企業はそろって好決算をマークし、賃金アップへとつながっていく。好景気の循環図がこの「ダブル安」によって描かれつつあります。

ガソリン価格が下がれば、行楽日和には遠くへ出かける予定を組む人も多くなるでしょう。賃金上昇によって懐が温まれば、財布の紐も緩むでしょう。原油、円のダブル安は、日本を好景気へと導いてくれるかもしれません。

しかし、不安もあります。原油価格は底打ち感があること、円安は輸入価格を押し上げてしまうことです。良いこともあれば悪いこともある。これだから好況の波を持続させるのは難しいのです。

いま、日本の借金(国債など)は1000兆円以上あります。財政の問題は喫緊の課題です。それを解決する、つまり、借金を返すにはもちろん「お金」が必要です。返済に「ダブル安」は貢献しうるのか。ひとつだけ言えることは、絶対に「X-DAY」は回避しなければいけないということ。そのための手段の一つとして、ダブル安による好況を利用するのもアリでしょう。ただし、それだけに頼るのは危険です。日本経済を後押しする状況は長くは続きません。あくまで「手段の一つ」として、ダブル安を活かすことを提案します。

 

参考記事:

13日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)経済面「ダブル安 好決算に」