遅すぎる入国制限 もはや意味なし

政府は5日、中国、韓国からの入国制限を発表しました。両国からの入国者全員に対し、自宅や宿泊先などで2週間の隔離を要請し、発行済みのビザの効力も停止します。人の往来を大幅に制限することで感染拡大を防ぐ狙いですが、その効果は不明です。

中国に対する入国制限はあまりにも遅すぎます。本土での直近2週間の新規感染者数は4855人ですが、封鎖中の湖北省を除くと僅か156人しかいません。日本国内では同時期に243人増加しており、人口比を考慮すると、湖北省以外での感染率は日本と比べて極めて低いと言えます。終息の兆しが見えています。

せめて3、4週間前に入国制限の措置を取っていれば、感染拡大防止の効果を発揮したかもしれません。しかし、現段階での入国制限は百害あって一利なし。経済的なダメージを自ら被るのみで、感染拡大の防止には役立ちません。

各地域の感染者数の推移グラフを一目見れば、状況が大幅に改善したことは明らかでした。全地域合計の累計患者数が多いという先入観に捉われて判断を下したのでしょうか。直近数日の状況を考慮すると、中国よりイランやイタリア、ドイツ、フランスの方が危険そうです。

入国制限に関する誤った判断は他にもあります。政府は先月12日に、浙江省からの旅行者に対して入国禁止を始める判断をしました。当時、感染者数は浙江省の1146人に対して、河南省1168人、広東省1242人でした。2省を入国禁止の対象に選ばなかったのは疑問です。2月初旬まで浙江省の方が多かったという事実に囚われていたのか、人口比と感染率の観点から2省は危険でないと判断したのか。移動制限の対象地域を選ぶ基準が不明確だと感じました。

状況は目まぐるしく変化しています。データを丁寧に分析し、適切なタイミングで効果的な対策を取ることが今後求められます。

 

参考記事:

6日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「中韓から入国 大幅制限」

6日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)1面「中韓から入国 2週間待機」

6日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面「中韓から入国 14日間待機」

 

参考資料:

百度百科「新型冠状病毒肺炎 疫情实时大数据报告」

https://voice.baidu.com/act/newpneumonia/newpneumonia