わたしたちとつながりのある過去、近現代を残す文化遺産

関東在住の方ならば修学旅行といえばやはり京都。筆者は中学・高校ともに行き先は京都で、少し残念な思いもしましたが、これからはある地域が修学旅行の候補地に挙げられることが増えるかもしれません。

4日、ユネスコの諮問機関である「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が九州・山口地域を中心とした産業遺跡を世界文化遺産に登録するよう勧告した、と発表されました。「イコモス」の登録勧告は近年の前例をみるに世界遺産登録の内定といってほぼ間違いないそうです。

2014年に同じく産業遺産として群馬県の富岡製糸場が登録されたのは記憶に新しいことだと思います。明治期の産業革命に貢献し、日本独自の文化構築に寄与したことが評価されました。過去の遺物で現在では衰退してしまった産業でありながら、今なお遺産として残り続けている。そんな不釣り合いにこそ、文化的価値があるのだと思います。

しかし今までの文化遺産とは違い、観光収入から施設の維持費用を捻出するのは難しいかもしれません。信仰の対象となる寺社、建築物の美しさから人が訪れる古城などとは違い、製鉄・鉄鋼、造船、石炭の施設はどうしても集客面で見劣りするような気がします。

今回世界遺産へ登録勧告された地域を構成する23の資産の中には、老朽化が激しく補強工事が必要なものが少なくありません。国や地域の公共団体が資金の出し手となるならば、何のためにこれらの施設を文化遺産として残さなければならないのかを明確にしておかなければなりません。維持することで大きな赤字が発生しても、守り続ける覚悟が求められます。

参考記事:5日付  朝日新聞朝刊(東京13版) 1・24・25面
同日付 日本経済新聞朝刊(14版) 1・31面
同日付 読売新聞朝刊(東京13版) 1・2・27面