世界の原発事情と日本 

今朝の読売新聞朝刊に、米国のターキーポイント発電所の原子炉2基の運転延長が決まったという記事が掲載されていました。これにより最長80年の稼働が認められました。新しく原子炉を造るよりもコストがかからないのが、一番の利点です。米国ではこの発電所以外の場所でも「80年運転」が申請されています。欧州でも原発の運転延長の動きが広がっており、今後長く稼働し続ける原発が増えるとみられています。一方、日本では運転期間は「原則40年」とされており、一度だけ最大20年の延長を申請することが認められています。

日本は自然災害が多い国です。そのため、各国の流れに従って同じようにとはいきません。しかも日本で「80年運転」ができるようになってほしいとは全く思いません。2011年の福島第一原発事故も地震と津波が原因で発生しました。一つの原子炉を長く使い続けるとそれだけ老朽化します。一年のうちに何度も災害が起きる国柄である以上、同じ原発を永らく使用し続けることは危険です。

そもそも、なぜ原発はなくならないのでしょうか。ますます推進されているようにも感じます。福島で原発事故が起きた時、事故後も放出される放射能が原因で復興が遅れました。あれから9年が経った今でも仮設住宅での生活を余儀なくされている人がいるのです。それでもなくならない、なくせないのは、原発があることによって恩恵を受けている人がいるからではないかと思います。一つ大きな施設があると、雇用も生まれ、周辺の地域は潤います。これが、今あるものを減らす、新しくするという考えを妨げているのではと考えています。

原発の恐ろしさを知る国は日本だけではありません。旧ソ連のチェルノブイリ、アメリカではスリーマイル島で同じような事故が起きています。それでも、原発に頼り続けるという決定はそういう過去を忘れてしまっているのだと感じてしまいます。同じ原発を80年、100年と使い続けたとして、始末するのは誰になるのでしょうか。リスクを顧みず、危険を次の世代に押し付けています。

参考記事:
今日付 読売新聞朝刊13版 (3面) (総合)「米原発「80」年時代」