日記に、心の奥深くの気持ちを。

今朝の読売新聞でデザイナーのコシノジュンコさんが母親の日記を宝物として紹介していました。母の小篠綾子さんは、2011年下半期にNHK連続テレビ小説「カーネーション」のモデルになった人で、筆者は当時食い入るように見ていました。小篠家の力強い生き方に魅了されたからかもしれません。

今回は、小篠綾子さんが生前書いていたという「日記」について、考えました。文庫サイズの日記帳「マイブック」は、偶然ですが筆者も今年から愛用しています。日々の小さな幸せを記録しておこうと、つづり始めました。2020年も1か月経ちましたが、一日も欠かさず書いています。一文だけの日もありますが。

その日の出来事、思ったことを書いたり、見に行った映画や美術館の半券を貼ったりしてきました。気負わずに書き続けていこうと考えていましたが、つい最近その考えが変わりました。自分の奥深くにある気持ちをつづるべきだと思うようになりました。

筆者が愛用している「マイブック 2020年の記録」。税別400円、都内の書店で購入した。2020年2月3日筆者撮影。

 

「プリズン・サークル」という映画を見たからです。受刑者たちが過去をさらけ出し、罪と向き合う姿を記録したドキュメンタリーです。島根県浜田市にある官民共同運営の刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」でのプログラム「治療共同体(セラピューティック・コミュニティー=TC)」の様子が映像になっています。受刑者同士の積極的な語り合いが推奨されているのが特徴で、映画は受刑者4人を中心に展開しています。

映画プリズン・サークルのホームページより、筆者がスクリーンショットしたもの。

 

なぜ盗むのか。一番初めに窃盗をした時の気持ちは。なぜ罪を犯したのか。被害者の気持ちになって考えると、どう思うか。それを、4人がお互いに語り合います。話すのは、罪のことだけではありません。自分の生まれ育った環境も振り返ります。大半の人が、子ども時代に虐待などの経験があります。TCを受講して半年たって、ようやく全員の前で父親から虐待を受けていたことを打ち明けることができた人もいました。

犯罪歴も虐待されていたこともない筆者ですが、この映画が他人事には思えませんでした。それは、自分のつらさや、考えていることを、打ち明けたり、話し合ったりする場所がないことに気が付いたからだと思います。

自分の気持ちや過去の出来事と向き合う機会があまりにも少ないことが、必ずしも犯罪と関係しているとは言えませんが、これまでに体験した学校教育、家庭環境、家庭内の教育を振り返ることがあっていいと思いました。幸い、就職活動中の今は、自己分析をすることによって過去を見つめる機会があります。これまでの出来事をリストアップし、その時どう思ったのか、これが自分の人生を形成しているのではないか、と分析したのです。過去だけでなく今の気持ちや思いも整理することで、気持ちがすっきりしますし、やりたいことが明確になりました。

そのような気持ちを日記に留めればいいのではないかと考えたわけです。なぜ私はいまこんな気持ちなのか。なぜこの職種に就きたいのか。なぜこのような性格なのか。自分の心の奥底の気持ちを言葉に表すことが大切だと思います。映画を見た2月1日のページは文字がびっしりです。マイブックでも、好きなノートでも、自分の気持ちを書き出してみるのをお勧めします。

 

参考記事

3日付読売新聞朝刊 東京12版 21面(くらし)「何事も度胸 娘への教え コシノジュンコさん 母の日記帳」