地方議会に端を発する、ここ最近の「政治とカネ」についての報道。国政では「白紙領収書」が問題視されています。その実態を明らかにするため、読売新聞が調査を行いました。しかし回答率の低さを見る限り、今後に強い不安を禁じ得ません。
政治家同士のお金のやり取りについて、曖昧な方法が慣例化しているように見えます。読売新聞の調査によると、対象とした207人の議員のうち、与野党幹部を含む23人が「白紙領収書」の授受を認めました。
政治団体は、資金を集めるためにパーティーを開くことがあります。参加者に一口2万円程度のパーティー券を購入してもらい、かかったお金を差し引いて活動費に充てる、という仕組みです。白紙領収書とは、いくら払ったという領収書を開催側が白紙のまま参加者に渡すことです。普通、領収書は開催側が金額を確認して書くものです。しかし白紙になっていれば、後から参加者の秘書などが金額を書き、そのまま収支報告書に記載することになります。もし多く払われていても、外部にはわかりません。富山議会では、水増し請求の手口として利用されていました。
私がもっとも衝撃を受けたのは、回答率の低さです。207人のうち、50人は「確認が困難」などとして授受の有無を明らかにしませんでした。71人からは回答そのものを得られなかったといいます。これでは、見出しのように「慣例化」と結論できるのか怪しいところです。そもそも議員側は、調査に協力する気がないのでしょうか。富山、岐阜、大阪など、地方議会では責任追及の潮流ができており、多くの議員が辞職を余儀なくされています。「国政ではどうなのか」と関心が持たれるのは当然のことです。それに応えないとは、ますます不信が募ります。
また、様式も統一されていません。白紙領収書を発行する理由に「受付の混雑を避ける」を挙げている議員が多いようです。政治家の参加する100人規模のパーティーですから、円滑な運営は極めて重要だと思います。ところが、あらかじめ金額を書いた領収書を持っていく議員がいます。後で郵送するケースも書かれていました。また授受を明確に否定する人は、しっかり主催者側に書いてもらっているはずです。これだけバラバラでは、主催者側がかえって大変ではないでしょうか。
「法律上の問題は生じない」、「政治資金監査制度がある」、とは言うものの、当の議員に問題意識が感じられません。曖昧な慣習が、いつになっても曖昧なままになってしまう。そんな悪い予感がしています。
参考記事:
10月23日(日)付 読売新聞朝刊13版 1面『白紙領収書が慣例化 与野党23人が認める』
10月23日(日)付 読売新聞朝刊13版 39面『「金額書くと受け付け混む」 白紙領収書 議員が釈明』