LINE×自動販売機 若年層の獲得へ

 私の大学のお話を一つ。ある階には自動販売機が3台並んで設置してあるのですが、いつも決まった1台だけに列ができているのです。安いからでしょうか。そうではありません、どれも同じ会社の自販機ですから。実は、その1台だけはTポイントが貯められるのです。

 私も飲み物を買う時には、学内の生協には行かずにこの自販機を選んでいます。単純に気軽に効率良くポイントを集められますからね。2012年からキリンビバレッジはTポイントサービスを導入しています。ファミリーマートやTSUTAYAなどでも使えるポイントを貯められるわけです。

 注目したいのはライバルのダイドードリンコの戦略です。23日に自販機のポイントサービスでLINEと提携すると発表しました。9月1日からのスタートです。専用アプリを使ってポイントを貯め、LINEスタンプの購入などができる電子マネーに交換することができます。

 日常生活でとても便利なコミュニケーションアプリLINE。スタンプを使って、手軽に喜怒哀楽を表現することもできます。無料のものから有料のものまでバリエーションは豊富。通常、有料スタンプを買うにはポイントをコツコツと貯める必要があります。もっと手際良く、スタンプが欲しい。これが利用者の本音でしょう。今回の提携は、この気持ちを汲み取ったマーケティングですから、中学生や高校生を中心とした若年層の利用を増やすことにつながると思います。

 飲料業界各社は、「消費者への還元」を掲げて、さまざまな内容の企画を展開しています。とくにダイドードリンコは、飲料売上高の9割程度を自販機に頼っているのが特徴です。安い商品ならどこでもあり、飲み物でしたらほとんど品質も変わらない。ですから、どこで買っても同じと考えがちです。どうしたら、コンビニではなく自販機に消費者を振り向かせ、心を動かすことができるか。企業が知恵を絞った末の戦略だけに、どんな成果があがるのか注目したいものです。

参考記事:24日付け 日本経済新聞 (東京13版)企業・消費面13面 「自動販売機、LINEと提携」

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