一人っ子政策は見直せるのか

中国共産党は2016年から始まる「第13次5カ年計画」を発表しました。各紙は、減速する経済成長に対しての経済対策に注目しています。特に、生産年齢人口の減少の対策として、「一人っ子政策」の見直しと、退職年齢の引き上げを挙げています。

今まで批判が多かった一人っ子政策。農村部では、第一子として女の子が生まれた時に、戸籍登録をしなかったり、死亡させてしまったりというケースもありました。このような残酷な倫理的な面からの反省ではなく、経済的成長のために一人っ子政策を見直すという中国政府の考えに疑問を感じます。

それだけではなく、実現性の問題もあります。そもそも、この一人っ子政策の見直しは上手くいくのでしょうか。もちろん、大家族がほしいと感じている裕福な夫婦は第二子、第三子を産むかもしれませんし、男の子がほしかった夫婦が第一子に女の子を産んでしまった場合も、そのまま男の子を期待して、第二子を産むこともあるかもしれません。ただ、子供を育てるのは、政府ではなく、家族です。子供を育てるためには金銭的にも大きな出費がかかります。エリート思考の高まっている都市部では、子供をいい大学に進ませるために、高額な教育費をかけたり、数え切れないほどの習い事に通わせたり、ブランド品を与えたり、と親が「一人っ子」にかけるお金や体力は想像を超えるでしょう。

このような生活に慣れている夫婦がこれから、「さあ、二人目を産もう」となるのか。「一人っ子」で慣れた将来の夫婦が、大家族を希望するのか。中国の一人っ子政策の見直しは、簡単にはいかないように思います。

 

参考にした記事:

11月4日付 日経新聞国際面「中国、成長へ産業高度化」

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