科学者「ら」の国際会議

「科学者ら」の国際会議であったはずが、気づいてみれば政治学者・赤十字・現職の閣僚まで名を連ねるようになりました。合意がパフォーマンスの域を超えられるかが問題です。

世界の科学者らが集まり、核兵器の廃絶について話し合うパグウォッシュ会議が昨日開幕しました。今回のテーマは「ナガサキの声」。初めて長崎県で行われ、大きな注目を集めています。昨日と今日の午前は「公開セッション」なので、一般の参加者も多く訪れていたようです。

驚いたのは、出席者名簿にアメリカとロシアの政府高官の名前があったことです。まず彼らは科学者ではありませんし、最大の核保有国の政府高官なので、会議の趣旨から離れてしまうのではないでしょうか。長崎へ実際に会議を見に行った学生に聞いたところ、「核抑止の現状にあなた個人は満足していますか」など鋭い問いが寄せられ、また質問者へ拍手が起こっていたということでした。米ロともに軍縮の現状について話し、保有国側の見解を伝える役割を果たしたようです。

それにしても、あまりに広く受け入れすぎではないかという不安を覚えます。広範囲にわたる問題を議論するために、多くの視点が必要となるのは理解できます。しかし現職の政治家までもが参加する中で、具体的な妥協点を見つけることは難しいはずです。第1回の会議では、パグウォッシュという別荘地に22人の科学者が集まって議論しました。36か国170人が、どこまで踏み込んだ結論を導けるのか。答えは最終日の「長崎宣言」まで待たなくてはなりません。

11月2日付 朝日新聞朝刊3面『核廃絶、世界の科学者ら議論』

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