「女子力高いね~」。こう言われるのは一般的に、日常生活の中でお弁当を自分で作ったり、お財布からばんそうこうが出てきたりした時です。このような女子力は世間から受け入れられるのに、女性が社会の中で働いていく、といった女子力の発揮はなぜ進まないのでしょうか。
25日、参院内閣委員会で女性活躍推進法案が可決されました。この法案は女性の登用を促すために、大企業に数値目標を義務付けるもので、近く成立し、来年4月に施行される見通しです。
安倍政権は女性が活躍できる社会をめざし、待機児童の改善や女性管理職の数値目標を掲げてきました。この法案もそのうちの一つです。効果がまったくないわけではないでしょうが、現実をどのくらい知ったうえでの政策か疑問があります。例えば希望者全員が保育園に入れたとしても、夜間や子どもの病気のときには預かってくれません。子どもをいつでも安心して預けられなければ、女性は長い期間働くことができません。法律で定められた通り、企業が管理職や採用者の女性割合、男女の勤続年数や労働時間などを分析し、公表しても、改善するためのきめ細かい対策がなければただの数字いじりで終わってしまいます。
この法案のように、女性の活躍を後押しすることは大切ですが、活躍してもらうためには、周りの男性の力も欠かせないと思います。女性への対応ばかりを取り上げて、女性を支える男性への支援を考えなければ、政策としては本末転倒なのではないでしょうか。たとえ女性への支援を整備したところで、男性が支えてくれる環境がなければ、元も子もありません。子どもの送り迎えや家事分担など男性にもできることはたくさんあります。全日本育児普及協会の佐藤代表理事は育休を例にあげ、「北欧のように、父親だけが取れる育休期間を設ける『パパ・クオータ制』の導入についても言及しています。子育てのために離職する男性が増えているときだからこそ男性への対応をおろそかにしてはいけません。
女性が能力を生かせなければ女性本人にとっても社会にとっても大きな損失です。そのために、女性と男性両方へのカバーを同時に進めていくことが、少子高齢化が進み、働き手が減っていく日本には重要なのです。
参考記事:
26日付朝日新聞朝刊(東京13版)5面(総合)「働き方変える 企業の一歩」
同日付読売新聞朝刊(東京13版)39面(社会面)「『イクメン』離職続々」