昨年の流行語になった「カープ女子」。プロ野球チーム、広島東洋カープを応援する女性たちのことです。各球団はこれにあやかり、「オリ姫」「タカガール」などなど、女性ファン獲得に力を入れています。首都圏に本拠地を置く5球団は「野球女子倍増プロジェクト」の一環として、グラウンド見学や選手との記念撮影を実施するなど加熱しているようです。
筆者も高校時代、授業後は毎日のように神宮球場に通っていたヤクルトファンです。そのころはまだ女性向けグッズは少なく、特にユニフォームは女性用の小さいサイズは用意されていませんでした。男性用のSサイズでも大き過ぎるのですが、我慢して着るしかありませんでした。しかし今ではかわいいグッズとともに、さまざまなサイズのユニフォームが用意され、自分に合ったものを選ぶことができるようになりました。これも「野球女子」が増えたおかげです。
球団が女性目線でイベントを企画してくれたり、前はガラガラだった球場にたくさんの観客が入ったりすることは、プロ野球ファンのひとりとしてはうれしいことです。その一方で、長年球場に通う「野球おじさん」たちは戸惑いを隠せないようです。「ルールもわかってないのに、キャーキャー言って」。そんな冷やかな声も聞こえてきます。確かにここ最近増えている野球女子たちは、試合展開やプレーよりも選手のルックスやユニフォームファッション重視なのです。筆者としても、せっかく球場に足を運んでくれる人が増えているのだから、野球そのものを楽しんでほしいと願います。
各球団は目先の観客を確保するために、入場者にユニフォームを配ったり、ファッションショーなどのイベントを開催したりしています。しかし、せっかく野球に、チームに興味を持ってもらえたのだから、その人たちに古株のファンになってもらうための努力が必要です。たとえば試合を理解してもらうためのルール講座はどうでしょうか。多くのファンにはバカらしいことですが、「野球女子」には必要なことかもしれません。減少傾向だった観客動員数が持ち直し、プロ野球も見直され始めています。これはあきらかに「野球女子」のおかげでしょう。女性に長期的なファンになってもらえるか。プロ野球人気を左右する試金石になることでしょう。
参考記事:
23日付 読売新聞朝刊1面「スポーツBizワールド『球場 女性呼び込め』」