先日、映画「トイ・ストーリー」シリーズの最新作を見ました。「おもちゃ」が主人公で、彼らは人間が見ていないところでいきいきと動き、考え、まるで人間のように生きているという設定です。今作では、おもちゃの持ち主ボリーがタブレットに夢中になり、徐々に大好きだったお人形遊びをしなくなっていきます。子供たちがデバイスに夢中になっている状況は、現代社会も同じではないかと感じました。
昨今、若者のデジタル依存は深刻な問題となっています。こども家庭庁の令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査によると、0~6歳未満で通園している子供の約7割、6~9歳の小学生の約9割がインターネットを利用しているという結果が出ています。また、インターネットの1日平均利用時間は、0~6歳の子供で平均して100~120分程度、中高生で300~400分程度という結果が出ています。
デジタル依存は様々な問題を引き起こしていると言われます。例えば、デジタル機器の長時間使用は、睡眠不足の減少や運動不足、視力の低下を招きます。また、インターネット環境が、若者が有害なコンテンツにアクセスしたり、闇バイトやディープフェイクを用いた犯罪に手を染めたりする温床になっていることが指摘されています。さらに、SNS上でのいじめも後を絶ちません。
このような負の側面を問題視する声が高まり、各国は対策を迫られています。なかでもオーストラリアは、若者のSNS利用の規制にいち早く乗り出したことで大きな話題になりました。規制することで子供の心身の健康を守る狙いがありますが、一律的な年齢制限への批判や実際の効果を疑問視する声も聞こえます。例えば、VPN(仮想専用回線)を用いたアクセスは、取り締まりが難しいという現状が横たわります。日本はどうかといえば、こども家庭庁が中心となって検討が進められており、なかでもSNSの規制に関しては来年の通常国会での法改正が目指されています。
子供のSNS利用やデジタル機器の使用に対して規制の動きが強まっているわけですが、その是非に関しては国内でも様々な考えがあります。肯定的な意見としてよく言われるのは、「子供が自分で利用をコントロールするのは難しい」というものです。大人でも依存してしまうのだから、ましてや子供が自制するのは難しいだろうというわけです。また、親だけに責任を負わせるのは限界があるので、社会全体で子供を守ろうという動きが強まっています。一方で否定的な立場から言われるのは、「SNS等は、子供が自己表現し、孤独を感じている子が繋がれる場になっている」という意見です。また、SNSやインターネットの利用と、抑うつや不安、ストレスとの関連を示す研究は数多くありますが、両者の因果関係が明らかになっているわけではありません。もともと孤独や不安を抱える人が、インターネットに居場所を求めている可能性があるのです。さらに、そもそも危険なコンテンツを表示したり、利用を長引かせたりする設計そのものを規制すべきだという意見も聞かれるようになりました。
私には同い年、4歳年下、7歳年下の従妹がいます。幼い頃、一緒におままごとをしたり、公園で鬼ごっこをしたりして遊んでいたことをよく覚えています。ところが、スマホやタブレットが普及してからはそちらに夢中になり、以前のように一緒に遊ぶことが少なくなってしまいました。かつてはお話をしながら一緒に絵を描いたり折り紙を折ったりしていたのが、今では同じ部屋にいてもそれぞれのデバイスを眺め、言葉もほとんど交わさず、ただ一緒にいるだけです。同じ空間にいるのにほとんど関わらない。そんな関わり方がひどく奇妙で虚しく感じるときがあります。
SNSやインターネットの過度な利用が、対面でのコミュニケーションや直接的な交流を狭めているのではないでしょうか。しかし一方で、インターネットへの依存を断つのは難しいとも感じています。なぜなら、興味のあるコンテンツが次々と表示され、動画は止まることなく自動で再生され、タイムラインに終わりはありません。次にどのような投稿が出てくるかわからないことから、「面白いものが見れるかも」といつまでも期待してしまいます。投稿をすれば、他者からの「いいね」やコメントが得られるため、承認を求めてますます利用するようになってしまいます。
インターネットは私の興味・関心を広げ、好奇心を満たしてくれます。知りたいことをすぐに調べることができ、それなしでは生活が難しいとさえ感じます。だからなにもかも規制すべきとは考えません。が、依存を生んでいる状況に関してはこのままでいいのかという疑問を感じます。政府だけでなく、プラットフォーム提供者やわたしたちも、一人ひとりが主体的に考える時期を迎えています。
参考資料:
・2026年8月3日付 読売新聞オンライン「社説:子供とSNS 効果的な規制を実現するには」
・2026年6月23日 こども家庭庁「インターネットの利用を巡る青少年の保護の在り方に関するワーキンググループ 第7回会合」一連資料
