〈特集〉JMS2023 未来のモビリティを考える(1)ライフスタイル編

先月26日、国内最大の自動車展示会「ジャパンモビリティショー」(JMS)が東京ビッグサイトで開幕しました。「東京モーターショー」から名称を改め、コロナ禍を挟んで4年ぶりの開催です。

筆者はあらたにすの記者として、開幕に先立ってメディア向けに公開されたプレスデーに参加しました。

トヨタのプレスブリーフィングに集まる報道関係者(10月25日筆者撮影)

現場での感想も踏まえて「ライフスタイル」「テクノロジー」「環境」「未来」の4つのテーマで、JMSについて特集します。

まずは「ライフスタイル編」です。

 

◯「モーターショー」から「モビリティショー」へ

今回、JMSには過去最多となる約500社が参加しています。ソフトバンクやパナソニック、JR東日本などの異業種や、スタートアップ企業の出展も目立ちます。

「モビリティショー」へと名称が変わったこともあり、会場には空飛ぶクルマやロボット、電動キックボードなど、自動車以外の様々なモビリティが展示されています。

技術の進歩とライフスタイルの多様化に合わせて、移動手段の選択肢が広がりつつあることを反映した展示となっています。

近年、自動車業界を取り巻く環境は急激に変化しており、展示の多様化の背景には、異業種との協力なしには生き残っていけないという危機感があるとも感じました。

空飛ぶクルマ(10月25日筆者撮影)

 

◯付加価値の追求

今回の展示では、各社とも移動だけではない、新たな付加価値を生み出そうと創意工夫を凝らしているという印象を受けました。

トヨタ自動車は「Find Your Future」をブースのテーマとして掲げ、多様なニーズに応えていく姿勢を示しました。

今回出展されているコンセプトカーの一つ、「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」はその一例です。

車体はシンプルなデザインの箱型で、コンパクトでありながら内部空間は広く、ユーザーのニーズに合わせて自在にカスタマイズができるようになっています。配送や移動販売、アウトドア、車椅子ユーザーの移動など、さまざまな用途への活用が想定されています。

佐藤恒治社長は記者向けの説明会(プレスブリーフィング)で、「未来のモビリティは、私たちのライフスタイルに応じて、その価値を拡張していく」と述べ、新たな付加価値の創造に意欲を示しました。

トヨタのコンセプトカー「KAYOIBAKO」(10月25日筆者撮影)

「KAYOIBAKO」の内装(10月25日筆者撮影)

 

◯移動手段の多様化

移動手段の多様化も注目すべきトレンドです。

目についたのが、パーソナルモビリティです。

歩行者と自動車・バイクとの中間に位置する個人の移動手段を指し、電動車椅子や電動キックボードなどが該当します。

会場では、試乗体験プログラムが用意されており、様々なパーソナルモビリティを体験することができます。

筆者は、近距離モビリティを手掛けるWHILLの電動車椅子に試乗しました。

ボタンで速度を調整し、移動したい方向にレバーを動かすだけでよく、直感的な操作が可能で、とても扱いやすいと感じました。

免許を自主返納した高齢者や障害者といった、移動に困難を抱える人の生活を支える、新たな移動手段として期待されています。

WHILLの出展ブース(10月25日筆者撮影)

 

「モーターショー」から「モビリティショー」へと姿を変えた「車」の祭典。

ライフスタイルの多様化に応じ、移動のあり方は急速に変化しつつあります。

引き続きJMSの取材をもとに、4テーマからモビリティの未来について考えます。

 

参考記事:

10月26日付 日本経済新聞朝刊3面(総合2)「ソフト・AI「クルマ」変える ジャパンモビリティショー開幕 感情解析し演出/自動運転、低コスト」

10月26日付 読売新聞朝刊(東京)2面(総合)「「モビリティショー」きょう開幕」

10月26日付 読売新聞朝刊(東京)8面(経済)「モビリティショー 最新鋭EV続々」

10月26日付 読売新聞朝刊(東京)9面(経済)「「移動」の在り方 提案 モビリティショー 快適さ・エンタメ性重視」

10月26日付 朝日新聞朝刊7面(経済・総合)「乗り物の祭典 モデルチェンジ途上 「未来の技術示せる」「車屋なので、それ以外は…」 きょう開幕」

参考資料:

トヨタ自動車株式会社「JAPAN MOBILITY SHOW 2023 特設サイト」

Japan Mobility Show 2023|ホームページ

WHILL株式会社|ホームページ

WHILL株式会社「拡大するパーソナルモビリティ市場~定義、種類、価格など徹底調査」