【特集】ママパパを応援!頼れる第二の食卓

総菜や冷凍食品の需要が高まるなかでも、手料理至上主義の考えは根強く残っている。総菜を買いたいけれど周りの目が気になる主婦や主夫がいるのではないか―以前筆者が書いた記事の一部です。執筆したことで、総菜やお弁当を販売する飲食店を取材したいという気持ちが湧き上がり、今回取り上げることにしました。

立川市にあるカフェ「cocokara」

都内立川市にあるカフェ「cocokara」は、市内出身の加藤友里恵さんが経営する、ご飯や焼き菓子のお店。特徴的なのは、初めて緊急事態宣言が発令された昨年4月から始めた「お子さま弁当」です。給食が始まらない幼稚園生、小学生に向けた取り組みで、働くお母さん、お父さんの負担を軽減したい、子どもを笑顔にしたいという思いから生まれました。

実際のお子さま弁当

「添加物は使わない、できる限り家庭で使う調味料で味付け、野菜はたっぷり」

など加藤さんのこだわりが詰まったものを、給食に近い手頃な値段で提供しています。

「甥っ子の給食メニューなどを参考に、お店で提供できるものを検討しています」

実は加藤さんは元保育士。多くのママさん、パパさんを見てきたからこそ、「献立を考えるのはとても大変。お昼ご飯だけでも気を抜いてほしいし、頼ってほしい」と言います。

 

実際に子どもがいる家庭では、コロナ禍で食の負担が大きくなっています。パルシステム生活協同組合連合会は、コロナ禍で変わる食卓をテーマに3歳以上の未就学児から大学生までの子どもがいる国内の20歳~60歳代の男女500人を対象にアンケートを実施しました。期間は、昨年12月末から今年の1月上旬まで。

コロナ禍前後の、食卓に揃う家族の人数の変化(「コロナ禍における食卓の変化」より筆者作成)

調査によると、約2割の男女がコロナ禍の前と比べ、夕食時食卓に揃う家族の人数が増えたと回答しました。テレワークの普及や外食を控える動きのためだと考えられます。

家族全員で夕食を食べたことが多い曜日(「コロナ禍における食卓の変化」より筆者作成)

また家族揃って夕食を食べた曜日を比較すると、週末こそ横ばいですが平日に関してはいずれも増加しています。世のお母さん、お父さんが食卓に料理を出す回数、その量が増えていることが読み取れます。

家族揃っての食事が続けば、作り手の負担は大きくなるでしょう。その一方で、全体の17.6%が、食事中の家族の会話がコロナ禍前より「とても増えた」「増えた」と答えています。同じ「食」を同じ時間に味わうことが、家族のコミュニケーションを活発にしているようです。

加藤さんは、「食」には人と人の距離を縮める力があると話してくれました。東日本大震災時何かできないものかと友人と集まり、被災地の子どもたちにお菓子を贈るプロジェクトを立ち上げた経験がきっかけだそうです。袋詰めしたクリスマスカードと駄菓子は、子どものみならず大人にも手渡しして配りました。喜んでくれる姿、お菓子を通して始まる会話。加藤さんが被災地で見つけた「食」の可能性は、コロナ禍の食卓で真価を発揮しているようです。

自粛はまだまだ続きそう。コミュニケーションを大事にしつつも、負担を軽減していく必要があります。皆さんの周りにも、心の余裕を与えてくれる、力強い味方がいるかもしれません。お母さん、お父さんが疲れたとき、困ったときこそ「お店の料理が、家庭の緩衝材になれたら嬉しい」。加藤さんの願いです。

筆者は「おとな弁当」を購入

 

参考資料:

パルシステム生活協同組合連合会調査「コロナ禍における食卓の変化

自家製シロップと焼き菓子のお店cocokara