突撃!隣の学生さん 「故郷愛を示し続ける」All Loving for実行委員会会長・武田知大さん

私たちの周りで活躍する大学生を取り上げる「突撃! 隣の学生さん」。

今回は、愛媛大学2回生の武田知大さん(19)をピックアップします。武田さんは、東日本大震災をきっかけに学生団体を立ち上げ、〈自分たちが暮らすまちを想う〉イベントを開き、600人を集めました。地方にいながら活躍する学生の姿を紹介します。

(学生編集長 森貞誠)

 

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(写真:武田さん)

東日本大震災後、その惨状に胸を痛めた人は多いと思う。

武田さんもその一人だ。武田さんは、内閣府が実施する「東日本大震災復興支援アクション 共に挑む・明日をつくるin東北」というインターンシップに参加し、岩手県陸前高田市に2011年7 月30日から約2 週間滞在した。

インターンシップの中で、仮設住宅に住んでいる方の心のケアを行う活動を経験した。毎日、同市内の仮設住宅に通い、家族を亡くした話や故郷を奪われた話などに耳を傾けた。武田さんが仮設住宅に通うたびに、被災者の方たちは武田さんを笑顔で迎え、時にはアイスやお昼ご飯をふるまってくださる方もいたそうだ。そんな中で武田さんは「人の温かさや人と人との繋がり、自分が今まで住んできた町を大切にする強い思い、美しさと大切さを強く感じた」という。さらに、被災から1 年後の現状を知るために、2012年3月10日と11日に福島県へ行き、福魂祭というイベントにも参加した。これらの経験を通して「改めて、故郷を見つめ直すべき時なのではないか」と考えたそうだ。

 

武田さんは、福島から愛媛に帰って来た後、All Loving for というイベントを企画した。All Loving for実行委員会は、武田さんが代表者を務め、愛媛大学の学生を中心に11人の大学生で構成された学生団体だ。

「愛媛の人たちに、その日 1 日だけでもいいから、自分の住んでいる町やそこに住む人々について考えてほしい」。そんな思いで設立した。

All Loving for2012は2012年9月8日に、松山市にあるコミュニティセンターにおいて入場無料で開催された。イベントを開く上で、熱心に企画や企業側のメリットを説明して24 社の協賛企業を集め、ゲストを各地から招いた。告知のために、本番2週間前から自主製作のCMを松山市の商店街で放送もした。商店街には、男子大学生が壁にボールを打ちつけながら「好きだー ! 」と叫ぶ、シンプルなテレビCM が20分ごとに流された。

当日、目標としていた2000人には届かなかったが、600人もの人が会場に足を運んだ。来場者は、愛媛大学の学生でありながらピアニストでもある竹内優さん、トロンボーン・ユーフォニアム奏者の阿部 竜之介さん、シンガーソングライター・照屋美穂さんによるライブを楽しみ、フォトジャーナリスト・安田菜津紀さんの震災に関するトークライブに耳を傾けた。

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All Loving forは1回限りでのイベントではない。次回All Loving forの開催も、場所は未定だが2014年3月に予定されている。

武田さんは、イベントを通してテーマにしていた故郷愛について、こう説明してくれた。

「故郷は町だけでなく、僕の関わっている人すべて。町を愛するだけでなく、人と人との関わりこそが故郷愛」

武田さんには、被災地に対して、「被災地」という感覚はあまりないそうだ。むしろ、「第二の故郷」という思いのほうが強い。武田さんは、生まれ育った愛媛はもちろん、被災地に対しても「故郷」として何らかの形で今後も愛を示し続けるだろう。(終わり)

 

取材を終えて

愛媛の人達に地域愛を感じてもらうイベントを開いた武田さん。私もイベントに参加したが、イベント中のふとした瞬間に家族や友人の顔が浮かんだ。おそらく来場者の多くが、私と同じような体験をしただろう。

私は愛媛に生まれ育って20年目だが、All Loving forを通して、愛媛の人、まち、名産品の良さを改めて感じる事ができた。All Loving forで感じた「人と人とのつながり」をこれからも心に留めたいと思う。

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