「就活なう!」第4回〜台湾の就活事情〜

今回取り上げるのは、南のお隣、観光の旅先としても人気の高い「台湾」です。

 

・台湾とは

 台湾本土の大きさは日本の九州ほど。治安の良さは日本と遜色なく、親日でも有名です。自然災害にあうことも多く、日本と同様「地震」に対してはとても高い意識を持っています。

言語は主として「中国語」の北京語です。

 今回は、日本の4年制大学を卒業し、日本の大手食品メーカーに今春就職した、林紀萱(Sarha Lin)さん(24)にインタビューをしました。

・台湾での教育

 台湾では小学校・中学校・高等学校と、6・3・3年の制度がとられ、台湾政府の統計データによれば、高校卒業後の進学率は94.75%にのぼり、海外へ留学する人も多いといいます。

たいへん熱心な教育は、学校だけでなく家庭においてもおこなわれ、早くから学習塾に通い英才教育を受けることは今日では一般的になっています。

 

・学生の就職活動

 さて本題の就活状況ですが、台湾では、日本のような正式な就職活動はありません。大学を卒業し、仕事を探しはじめる人もいれば、修士・博士課程への進学をする人も同じくらいいます。ですが、台湾では「卒業は失業に等しい」ということわざがあり、大学卒業までにインターンをして職を探すか、卒業後2〜3ヶ月で仕事探しをする人が多いといいます。最近では、海外でのワーキング・ホリディをする人がかなり増えているという特徴があげられます。(後に述べる「22K」と関連します。)

また男性の場合、大学卒業後に約1年程度の兵役が義務づけられており、軍隊に入らねばなりません。

 企業に就職する場合、就活生への説明会などはなく、各自インターンに参加をし、HPなどで企業を知る努力をします。エントリーシート(ES)はなく、履歴書(Resume)のみ。大学のランキングや在学中の学業成績が重視されます。採用試験はほとんどの企業で短い面接が1回あるだけ。このためか会社と学生の「ミスマッチ」も頻繁に発生し、20代の離職率は4.17%にのぼるそうです。離職や転職が気軽に行なわれ、そのままニートやフリーターになる人が増えていることが社会問題にもなっています。ちなみに、台湾での入社試験ではリクルートスーツやリクルートカバンといった正装をする必要はなく、Tシャツやジーンズなどで面接を受けることも可能だそうです。

 

・ 「22K政策」とは

 2011年から政府の「22K政策」が実施されています。

Kは「千(1000)」を意味し、22Kは、台湾$で2万2千元(=日本円で約7万円)を意味します。かつての新大卒初任給は26〜28K(台湾$:2万6千元〜2万8千元=日本円:約8万円)でしたが、政策で上限2万2千元に引き下げさせたのです。正社員として長く働くめどが立てば、その制限を外しても良い、引き上げるというものです。

初任給が安く済ませられれば企業側に好都合かと見えますが、実は企業の多くがこの政策に反発しています。昨年はこの問題が大きな話題になりました。「22K」に抑えて出た儲け分は政府に流れるという仕組みになっているからです。

学生も「安い給料に抑えられるのなら」と、大学を卒業した後にワーキング・ホリディに行ったり、海外に就職したりする人が増え、企業の人材確保に悪影響が出ているという声もあるそうです。

 

・自国の就活をどのように思うか

 林さんによれば、「はじめにも述べたように、台湾は日本と比べてみても、就活生に限らず人材が豊かだと感じます。また、貿易拠点としての地理的な優位性もあると感じていますし、就職や企業の発展には非常に良い環境であると思います。しかし、22Kのような政府による決して適切とは言えない不健全な政策に加え、ほとんどの企業が人材教育やキャリア教育に力を入れようとせず、人材が流失するケースが著しく多いと感じます。その点は、企業に入社してから人材を育成する日本とは大きく異なるところだと思います。」

 

・ 今後のキャリアプランは

 日本で学び、日本で就職してみて、強く実感したことは、「日本のビジネスモデルの成熟ぶり」です。日本のビジネスをしっかり勉強して、いつか、自国台湾で自分の会社を立ち上げたいと思っています。

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林さん 

 

皆さんは、どのようにお感じになったでしょうか?
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