京都市長選 「大混雑」を変えられるのか

京都市長選が19日に公示されました。

いずれも無所属で、現職の門川大作氏、前京都市議の村山祥栄氏、弁護士の福山和人氏の3氏が立候補を届け出ています。

今回の争点の一つは「観光公害」です。

近年、訪日観光客が激増し賑わいを見せています。観光消費額は1兆3082億円に達しています。一方で、様々な課題が目立つようになりました。その一つが交通渋滞や公共交通機関の混雑です。

京都は観光地と市民の生活圏が狭い範囲に混在しています。そのため、多くのバス路線は観光地と生活圏の両方を通ります。例えば「206系統」は清水寺、八坂神社、知恩院など有名観光地の最寄バス停を全て通った後、京大前を通り住宅地へと向かいます。そのため、乗客が非常に多く乗降に時間がかかります。渋滞もあるため、ネットの交通案内で35分のところを90分かかることも少なくありません。生活をする人々は移動に必要以上に時間がかかり、不満が募ります。

市も対策を講じています。約1年前、「京大快速」路線が作られました。観光地を避け、停車するバス停も減らした、いわば市民のための路線です。確かに時間は短縮され、バス内の混雑も改善はされました。しかし、本数が少なく運行時間も17:00頃に終了するため使いづらいという声も少なくありません。

候補者はそれぞれ混雑緩和や利便性向上に関する施策を示しています。村山氏と福山氏は共に生活路線と観光路線の分離を掲げています。また村山氏は加えて、地下空間に新たに環状線を増設することを掲げています。一方、現職の門川氏は現在も一部で行っているバスの「前乗り後ろ降り方式」(運賃を乗車時に支払うため、乗客は事前に運賃を用意でき、降車時に混雑しにくくなります。)拡充等、現在の施策の推進が目立ちます。

私は現状の人の流れを一新できるほどの改革が必要だと思います。

村山氏の掲げる環状線構想は魅力的です。市内の輸送力は限界を迎えているため新たな交通手段を作ることは強力な解決策となります。しかし、財源や必要な工期を考えるとその実現性には疑問が残ります。

私は生活路線と観光路線の分離が現状で最も現実的であると思います。しかし、「京大快速」のように使いづらい路線を増やしても根本的な問題の解決にはなりません。既存の路線を一旦白紙に戻し、現状に合わせて全て引き直すといった抜本的な改革が必要だと思います。

私が京都に住んだのは4年という短い間でしたが、その情景の美しさや人々の営みに魅了されました。3月に離れてしまいますが、大好きな街がより良い発展を遂げられるように責任ある一票を投じたいと思います。

〈訂正〉1月21日の公開時、「福山氏は加えて、地下空間に新たに環状線を増設することを掲げています」とあったのは「村山氏は」の誤りでした。本文は訂正済みです。

参考記事:

20日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)23面(京都)「実績か新風か 3氏立つ」

同日付 読売新聞朝刊(大阪13版)33面(地域)「京の将来像 3氏問う」

参考資料:

門川大作OFFICIALサイト http://www.kyoto-daisakusen.jp/

村山祥栄オフィシャルサイト http://www.shoei25.com/

福山和仁オフィシャルサイト http://www.fukuyamakazuhito.jp/