近年の日本は、相次ぐ自然災害に悩まされています。昨年の西日本豪雨に続き、今年は相次ぐ台風により全国で甚大な被害がでました。今も爪痕が残る地域もあり、もとの生活を取り戻すまで長い道のりが待っています。
やはり、日本の自然災害と言えば地震とは縁を切れません。阪神淡路大震災や東日本大震災、そして「いつか」絶対に発生する首都直下型地震や南海トラフ地震など、これまでも、そしてこれからも地震とは向き合っていかなければなりません。
「いつか」は絶対に発生する巨大地震。しかし、今日皆さんがこのサイトを見ているときにやってくるかもしれない、または30年、50年経っても発生しないかもしれない。そういう極端に高い不確実性の下で防災へのモチベーションを維持するのはとても困難でしょう。
兵庫県神戸市では、阪神大震災が発生した1月17日の前後に毎年「シェイクアウト訓練」を行っています。午前10時に市内にいる人のスマートフォン等に緊急速報メールを一斉に配信します。
しかし、この訓練が来年から中止されることになりました。理由はとても簡単。「着信音がうるさい」からです。
確かにあのエリアメール特有の独特な、緊張感を高める音は聞いていて心地よいものではなく、音量もそれなりに大きいですから、いざ鳴るとびっくりするでしょう。でも、そんな理由で訓練を中止してしまうのは納得できません。
市の担当者は「職場や地域でも自発的に取り組んでほしい」と語ります。しかし、市に電話してまで訓練の中止を求める人が果たして日々の生活で訓練を取り入れるのでしょうか。訓練を実施しないままいざ大地震が起き深刻な被害が発生すれば「あの自治体は訓練もしない意識の低い街だから」と言われる隙を作ってしまうだけです。
いつ起こるか分からないからこそ、年に1回でもほんの少しだけ緊張感を持って、「大地震が起きたらこういうメールがくるからこういう手順で避難して…」と再確認することに意義があるはずです。
訓練の音がうるさく感じる世の中だとは思いませんでした。心地よい音色の着信音で、やさしいお姉さんの声が流れればいいのでしょうか。それが訓練だとは思いません。
参考記事:
7日付 読売新聞朝刊14版 37面(社会)「神戸市 自身一斉訓練中止へ」