技術だけで交通安全は守れない

いつになっても無くならない交通事故。今年4月19日、池袋で当時87歳の男性が運転していた車が、赤信号を無視して暴走。横断歩道で親子2人を死亡させたほか、通行人ら9人に重軽傷を負わせました。警視庁は、事故原因を「ブレーキとアクセルを間違えて踏み込んだ」と、ドライブレコーダーから断定しました。

容疑者の男性は俗に言う「高齢者ドライバー」です。過去にも高齢者による事故は、度々報道されてきました。しかし、私は彼の発言に憤りを感じています。

「フレンチの予約に遅れるから急いだ」「安全な車を開発してほしい」

あまりにも無責任な発言です。自動車メーカーは日々、安全な車を作ろうと開発し、私たちの元へ提供しています。その安全を実現できるかは、ドライバーに掛かっているのです。そこの責任感は、老若男女問わず認識しておくべきだと思います。

また最近、普通自動車の運転免許について、「なぜ最短2週間で取れてしまうか」という疑問を抱いています。いわゆる免許合宿ですが、効率性を求めすぎて、本当に大丈夫なのかと不安に思います。「形」だけの免許は意味がありません。

いくら自動ブレーキや自動運転が普及しても、ドライバーが変わらなければ宝の持ち腐れです。交通事故を減らす一案として、「自動車免許取得の難易度を上げる」ことも考えられます。これは長期的ですが、効果はあると思います。

「交通事故のことをみんなが考え、国が動き、事故で苦しむ人を減らしてほしい」

これは、亡くなった親子の夫の訴えです。私たちは本格的に、交通安全とは何かを考える必要があると思います。たとえ運転手が高齢者やあおり運転をする人じゃなくても、事故は起きてしまうのです。今回の事件から分かる通り、無責任なドライバーは存在します。つまり、交通安全は技術ではなく、人間自身によって実現できるのです。

参考記事:

13日付 朝日新聞朝刊14版29面「池袋暴走 88歳を書類送検」

同日付 読売新聞朝刊13版36面「88歳容疑者 書類送検」

同日付 日本経済新聞朝刊13版43面「「2人の死 向き合って」」