建物だけが文化財じゃない 石垣も文化財だ

先日、沖縄の首里城で火災が起き、正殿など7棟の建物が延焼しました。首里城を心の拠り所としていた沖縄の皆様にお見舞い申し上げます。

日本には何千、何万もの城郭があります。姫路城、松本城、彦根城などの現存12天守を除き、全ての城は江戸時代かそれ以前に作られた天守閣を持ちません。首里城も、琉球王国時代に造営された宮殿は太平洋戦争中に焼失しており、今回焼け落ちた建物は戦後に再建されたものです。莫大な費用と時間がかかるものの、復元することは可能かと思います。

一方、日本の城の中には火災に見舞われずとも、少しずつ傷み、失われつつある城が多くあります。今日の朝日新聞朝刊には、奈良県の高取城の窮状が紹介されていました。高取城は南北朝時代に建てられ、著名な戦国武将である筒井順慶の居城でした。明治維新後に天守は取り壊されたものの、立派な石垣や空堀、曲輪が残っており、日本三大山城の1つに数えられています。しかし、敷地内の樹木管理すら行われず、石垣の変形や崩落が至る所で発生しています。

兵庫県朝来市の竹田城では、2010年頃から観光客が急増したことにより、地表の芝生がはげて、礎石が露出するなどの被害が深刻化しました。現在は立ち入り禁止区域が設けられています。東京都あきる野市の戸吹城は立地している場所の地盤がもろいため、遺構や登城路が崩壊しつつあります。全国各地の城跡が劣化しつつあるのです。

過去の遺物が失われるのは運命ですし、天守閣がない無名の城が自然に還っていくのも仕方ないことかもしれません。ただ、筆者としては一抹の寂しさを感じます。歴史学的価値を持つ城郭を守るためには、保護を各地の教育委員会任せにせず、まずは我々が関心を持つことが重要だと思います。

城跡に行って下さい。石垣や堀、土塁の跡を見て下さい。きっと「兵どもが夢の跡」を感じ、守るべき歴史的価値を認識できるでしょう。

 

参考記事:

8日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)26面「高取城 圧巻の石垣 早急に保全を」