「気候変動のような大きな問題は楽しく、かっこ良く、セクシーであるべきだ」
今朝、テレビ局でアルバイトをしていた筆者はテレビから流れてくるこの発言を嫌になる程耳にした。
国連の温暖化対策サミットでの小泉進次郎環境大臣のスピーチの一部である。「地球温暖化」と「セクシー」という突拍子のない組み合わせと小泉氏の閣僚就任後、初の外遊での出来事ということもあり、朝の情報番組はこの話題で持ちきりであった。
確かに、セクシーの部分だけを切り取ると突拍子もない意味不明な発言である。しかし、隣に座っていたコスタリカの外交官が以前、「セクシー(環境に配慮)」と発言したのを引用しただけであり、一種の言葉遊びに過ぎない。そのことを考慮すると小泉環境相のセクシー発言は大々的に取り上げるようなトンデモ発言ではないのである。
ところが、メディアが大きく取り上げたことで発言自体が一人歩きし、ネットなどではプチ論争さえ、巻き起ころうとしている。
前東京都知事の舛添要一氏は「言語明瞭、意味不明瞭」と痛烈に批判。元AKB48の秋元才加もセクシー発言に「楽しく、かっこよく、セクシーに…。普通に真摯に向き合って計画的にしっかり行動で示すで良くないのかな…?」と疑問を呈した。
一方、社会学者の古市憲寿氏は「全貌を知っているはずなのに一部を切り取って面白がるマスコミも、それを脊髄反射で批判するバカも、いつもの光景」とマスコミの報道姿勢を批判。国際政治学者の三浦瑠璃氏は「進次郎氏の発言が物議を醸してますが、日本の人々の誤解ですね。英語でsexyというのは、めっちゃイケてるみたいな意味でも使います」と批判している側の間違いを指摘している。
学者から元アイドルまで、まさに百家争鳴。月末の金曜日に「朝まで生テレビ!ド~する?!ド~なる?!小泉進次郎、セクシー発言」といったタイトルの特番でも組まれそうな勢いである。
この騒動が示している様に、他愛のない発言でさえ、小泉氏の手にかかれば、メディアと知識人を巻き込み論争が巻き起こるのである。この様な能力を持つ政治家は日本広しといえど、彼以外にいないであろう。
世間では、小泉氏のセクシー発言の是非を中心に論じられている。しかし、私たち国民は「セクシー」と発言しただけで、お茶の間の話題を掻っさらう小泉氏の「魅力」に少しばかり警戒する必要があるのではないだろうか。
ハンサム、言語明瞭、良家出身、滝川クリステル――。
確かに、私のような庶民にとっては、あり得ないほどの魅力を兼ね備えている。しかし、魅了されることなく、一有権者として冷静に見ることが、彼が大臣となった今、重要となってくるのではないだろうか。
今朝、テレビ局でADとともに「小泉環境相 セクシー発言」のニュースを「おもろい!」と思いながら見ていた一視聴者としての反省である。
参考記事:
24日付 読売新聞朝刊(14版)「「脱炭素で協力」小泉氏、国連でスピーチ」
参考資料:
「気候変動問題をセクシーに取り組む」の違和感はこうして生まれた(そもそもsexyとはどういう意味か)
https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20190924-00143920/