ネットで溢れかえるYesマンを止めろ!

オンラインで何かしらのサービスを受ける際、利用規約を読んで同意しなければなりません。あるサイトでは、最後までスクロールすると「同意する」ボタンを押すことが出来ます。しかし、内容を明確に理解し、納得して利用する人は果たしているのでしょうか。

就活情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就活生の「内定辞退率」を本人の同意なしに予測し、38社に有償で提供していました。各々の企業を志望した学生の閲覧履歴などを収集。内定を得ながら辞退する可能性を、AIで分析しデータにしていました。リクナビは「規約の表現が不明瞭との指摘を真摯に受け止める」「わかりやすい表現や説明方法を検討する」とのこと。

このデータは個人情報保護法における「個人情報」にあたるので、外部へ提供するには個人の同意が必要です。もともと規約には「サイトから取得した行動履歴を分析した利用」「採用活動補助のため企業へ提供」と記載されていました。

 規約の細かい部分までは読まないし、もし説明されてもとても同意できる内容ではない

ある学生は憤慨しています。人生を左右しかねないイベントだけに、怒りや戸惑いを隠せないようです。しかし、その規約を読んで同意したという事実は明らかです。発言と行動が矛盾しています。

ネット上での契約が、こんなに粗雑でいいのでしょうか。読み飛ばしてしまう利用者にも非はあります。しかし、原因は「読み手を配慮していない利用規約」です。

まず、提供者は書類を相手に分かりやすく掲示することが重要です。ずらずらと書き連ねた難しい文章は、読む気をなくします。そこで、誰でも理解しやすいように、イラストや具体例を補足として付け加えてみたらどうでしょうか。各項目はどんな内容が書かれているのか、イメージしやすい工夫を取り入れてほしいです。

また、その規約を紙で保存できるようにしたら、確認もスムーズに行えると考えます。スマートフォンだと文字が小さく、何回もスクロールしなければなりません。PDFファイルで表示すれば、近くのコンビニでも印刷が可能です。

利用者も危機感を持たなければなりません。スピードを重視するあまりに、すぐ同意していませんか。時間があればこちらもご覧下さい。利用規約に関する面白い実験が紹介されています。

契約は両者が納得することで成り立ちます。ネットの場では、まだすれ違いが生じているので、早急な対策が必要です。

参考記事:

2日付 日本経済新聞朝刊 14版1面「就活生情報 説明なく提供」

14版3面「個人データ分析 ルール整備急務」

同日付 朝日新聞朝刊 14版1面「内定辞退確率 予測し販売」