18歳選挙権が導入されてから3度目の国政選挙となる。7月21日は参議院議員選挙の投票日だ。
振り返れば、筆者が高校3年生の夏。3年前の参議院選挙では、18歳の投票が大きな注目を集めた。当時、模擬選挙の取り組みをしていた母校には多くのマスコミ取材が入った。私は校内の模擬投票、実際の投票、どちらもした。しかし、今年の報道を見る限り、若者への投票の呼びかけに焦点を絞った企画は下火になってしまったようだ。導入から3年経った今、若者の選挙や政治に関する意識はどうなっているのだろうか。気になるところだ。
そのような中、驚くべき取り組みを見つけた。大手アウトドアショップ「patagonia(パタゴニア)」が、投票のために全直営店を閉店するという。背景には、パタゴニアの企業理念がある。
HPを見ると、
「私たちの地球のために投票しよう」
「本当の意味で手遅れにならないために、そして若者や地球の将来のために、私たち市民全員が、社会構造を大胆かつ公正に変化させようとする政治家を選ぶ必要があります」
との力強い呼びかけがあった。
社員だけではなくその家族や友人と選挙について語り合い、投票に行ってもらうためだそうだ。投票日に限らず、これからの社会のあり方を考える「選挙カフェ」も各店舗に店開きする。
(HP引用)
以前の選挙戦でも、投票を済ませた人がもらえる投票済証明書を見せれば、ラーメン屋で替え玉が無料になったり、映画鑑賞料が割り引きされたりする試みは見られた。しかし、パタゴニアは全店舗の閉店に踏み切った。誰もが知る有名アウトドアショップの挑戦は、社会の大きな後押しになるだろう。既にSNSを中心にムーブメントが起きている。一企業が、日本の低投票率に一石を投じる。選挙の大切さをより多くの人に伝えたいという心意気に、筆者も心動かされた。若者に愛されているブランドの取り組みは、若い世代を対象に選挙への関心を引き出すきっかけ作りをしていると言っても過言ではない。
投票所に行くことによって、世の中を少しでも動かすことができ、それこそが政治の場に民意を届ける唯一の手段のはずだ。そんな価値のある1票を持っていることを、私たちは忘れてはいけない。
2019年7月21日。あなたはきっと選挙に行く。そして未来への投資をする。もちろん、私も。
参考記事:朝日新聞2019年7月8日付記事「首相演説日程」