予防では、防げない

「どれほど洗練された育成システムを持っていても、悪意のある個人を排除することはできない」(読売新聞)

事故のあったジャーマンウイングス社の親会社であるルフトハンザ航空のシュポアCEOは、会見でこのように述べました。徐々に真相が明らかになってきた中で、湧いてきた疑問は様々でしょう。今日はこの事故について、皆さんと考えていきたいと思います。

24日に乗員上客150名を乗せたドイツの格安航空会社ジャーマンウイングス社の旅客機がフランス南東部のアルプス山中に墜落した事故について、仏検察当局の検察官は26日の記者会見で、機長がコックピットの外に出た後、副操縦士が意図的に機体を降下させたとする見方を明らかにしました。検察官は、この事実から副操縦士を殺人容疑で捜査する意向も示しています。また、この副操縦士はテロリストであった可能性は低く、マルセイユの管制塔からの呼びかけにも応じなかったものの、呼吸音が記録されているため機内で死亡していた可能性も低いという見解も示しました。訓練を一時中断していたという経歴も明らかになり、操縦中の副操縦士の行動に注目が集まっています。

この副操縦士に限らず、本人が死亡してしまった以上、他人の本当の考えを知ることは出来ません。ですから、ここでは副操縦士が何を考えていたのかを想像することも分かりません。それより、筆者が気になっていることは、なぜ危険性のある人物が操縦席に座ることが出来るのかということです。この航空会社では、精神面の定期検査は行っていませんでした。技術面や健康面はもちろんですが、精神面で不安要素がある人間が他人の命を預かるという危険性を排除することが航空会社にも求められるのではないかと思う反面、どうしてもこのような意図的な行為はなくならないのではないかとも考えています。自動車の運転免許取得する際、簡単な精神状況をテストされたと思います。ですが、非常に乱暴な運転を意図的に行う人は一定数いますよね。つまり、テストや検査では防げずないのではないかと考えています。では、運任せかというと、それもあってはならないと思います。技術的に難しいかもしれませんが、いざという時は管制塔から遠隔操作ができるようにしたりするなど、対処療法的な対策しかないではないでしょうか。

いくら予防をしても、事故や事件は絶対に発生してしまいます。ならば発生した際、乗客の命を守る対処に力を入れるべきではないでしょうか。

参考記事:27日付朝日新聞朝刊(東京14版)1面,13面(国際面),39面(社会面)

同日付日本経済新聞朝刊(東京14版)1面,7面(国際2面)

同日付読売新聞朝刊(東京14版)1面,3面(総合面),39面(社会面)