部活動、時短のススメ

今朝の朝日新聞と読売新聞の一面には、日本の教員の勤務時間がOECDなど世界48か国・地域の中で最長だったと報じられた。他の先進国と比べて仕事の時間が最も長い一方で、教員としての能力を上げるために用いている時間が短いとわかった。とくに、中学校では、部活動などの課外指導に割く時間が7.5時間。調査対象となった国の平均である1.9時間を大きく上回った。

さらに衝撃だったのは、知識や専門性を高めるための「職能開発」に費やした時間がたったの週0.6時間だったことだ。教育機関である中学校の教師なのに、教育に割く時間より部活動に割く時間の方が圧倒的に長いことに違和感を覚えた。私自身、中高では部活漬けの日々を送った。何物にも代えがたい達成感を得たが、部活動だけに捧げなくても良かったのではないかと今は思う。教育内容を充実させるためにも、部活動の時間短縮を進めるべきだ。

土日祝日、さらには夏休みに部活動を原則禁止としている地域がある。新潟県加茂市だ。2018年8月から実施され、全国で初めての試みである。これを全国に広めればよいのかもしれないと考え、加茂市出身の友人の母親に話を聞くことができた。今も同市にお住まいだ。

「大会前だけでも練習がしたいと保護者が市長に申請し、強豪校は特別に許可が下りて、練習日を増やしたそうだ」

という。生徒だけでなく保護者からの要望が強いことに驚いた。教員、生徒双方の負担を減らすためとしつつも、強豪校の練習が減らないのなら意味のないような気がする。また、市長が2019年5月に交代し、部活動の日数が増えつつある。思い切った試みではあっても、長続きしないことには全国に広まることは期待できない。

教員、生徒、保護者それぞれが納得できる形を考えたい。いかに短い時間で強いチームを作るかなのではないか。6月4日付の日本経済新聞には、「部活 勝つための時短」という記事が掲載されていた。練習時間をあえて短くすることで実績を上げるチームが相次いでいるという。

記事に紹介された静岡県聖光学院高校のラグビー部は週3回、1回につきわずか60分から90分の練習だ。給水時には水筒置き場まで全力でダッシュし、タックルを意識した低い姿勢で止まるなど寸暇を惜しんで鍛える。このような効率の良い活動が広まれば、教員も生徒も学業に時間を割きつつ、部活動も充実させることができる。短い時間で強いチームを目指す。この方針こそ全国に広まってほしい。

 

参考記事

20日付 読売新聞朝刊(東京14版)1面「日本の教員 勤務時間最長」

20日付 朝日新聞朝刊(東京14版)1面「教員 進まぬ改革」

 

6月4付 日本経済新聞夕刊 5面「部活、勝つための時短」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45614320T00C19A6000000/