資源開発には莫大なお金とリスクがかかります。しかし、資源の確保は、一企業の利益にとどまらず、国益にも関わる大きな問題です。
住友商事は25日に、同社の2015年3月期決算で純損益が赤字になるとの見通しを発表しました。資源開発の失敗と資源価格の下落で損失が膨らんだことを理由にあげ、今後の資源開発を見直すことも発表しました。他の大手商社も3月期では大きな損失を見込んでいます。
また、朝日新聞は、グリーンランドのキールセン首相が単独インタビューのなかで、北極圏の開発への日本の関与に期待を示したことを報じています。北極圏には中国が10年前後から乗り出しており、日本は遅れをとっています。
短期的な収益を考え、資源開発をとりあえず休止するか。それとも国益も踏まえて、新たな開発に取り組むか。これは、一企業だけでは難しい判断です。
資源のない日本が海外へ積極的に投資していくことは、安定供給の点で意義があります。もちろん資源開発にはリスクがあり、長期的に考えなければなりません。ただ、短期的な利益、さらには原油価格の下落などのリスクだけを考えて、海外投資に躊躇する姿勢も問題だと考えます。メディアが損失の部分だけを大きく取り上げれば、他大手企業の海外投資にも過度のブレーキをかけてしまうとも感じます。
皆さんは、民間企業に積極的な資源開発に取り組んでほしいと考えますか。そのために、例えば国が支援するといったやり方が必要だと思いますか。それとも、将来的には中国や米国からの輸入に頼ることを前提に、当面は開発ではなく安定的なルートで資源を確保すれば事足りると考えますか。
参考記事:
26日付朝日新聞朝刊(東京13版)経済面「住商16年ぶり赤字」国際面「北極圏の開発積極的関与を」
26日付読売新聞朝刊(東京13版)経済面「資源安 商社に打撃」
26日付日本経済新聞朝刊(東京13版)経済面「住商、資源見直し」