今年だけで1万室増加 大阪のホテル事情

毎日、神戸や大阪、京都を移動しています。駅前をぶらぶらするのも好きですし、電車からの車窓風景をぼんやり眺めるのも良いものです。そんな筆者がここ1年、2年思うのが「駅前に多くの建物がたくさん建つようになったな」ということです。

その要因はなんといってもホテルの建設ラッシュでしょう。訪日外国人が急増し、宿が足りなくなる心配が語られています。そんな中で、大阪や神戸、京都など関西の大都市の駅前ではホテルが相次いで開業しているのです。阪急阪神ホテルズは20日、JR大阪駅北側で建設中のホテルの名称を「ホテル阪急レスパイア大阪」にすると発表しました。同時に、工事が順調なことを受けて開業時期を半年ほど前倒しして今年11月にすることも決定しました。

このホテルの売りは何といってもその規模です。客室数が1,032室と、大阪市内の既存ホテルで最多のリーガロイヤルホテルの1,042室に匹敵するのです。他にもアパグループは9月に大阪・本町で900室を超えるホテルを開業させますし、2022年末には1,500室超のホテルを梅田で開業させる計画も発表しています。

ニッセイ基礎研究所の白波瀬康雄氏によると、20年までの3年間で大阪市内のホテルの客室数は2万室も増える見込みですが、需要に見合った投資計画であると評価しています。

最近、関西のローカルニュース番組で、横並びの客室提供ではなくサービス面で工夫を凝らしたホテルの特集が組まれていました。関西に初出店した「変なホテル」の受付には人がいません。代わりに恐竜のロボットが4か国語を操り、案内します。大阪・中央区の「ホテル・ザ・グランデ心斎橋」では、45室すべてが違うデザインになっており、ベッドの上の壁がアメジストの原石になったり、バリ島の木や武田双雲さんの書が飾られたり。バリエーションに富んだ客室を提供するホテルが登場しています。

今年6月のG20首脳会議や25年の大阪・関西万博など大きなイベントが目白押しです。その一方で、稼働率こそ8割を超えるものの、その伸び率には鈍化傾向も見られます。また、ホテルを支えるスタッフなどの人手不足も深刻となっています。

大阪駅や京都駅前を歩くと、大きなキャリーケースを引きずる団体客があちこちにいて、時にはエレベーター前で行列になったり、隣接する住宅街を大勢で歩いたりと、観光ブームの功罪が垣間見えます。京都では観光客が急増して主要路線では、昼間なのに朝の通勤ラッシュ並みの超満員というバスさえ増えています。

訪日客を受け入れる環境が整うのはいいですが、それと同時に多くの人が安心して歩ける道路づくりやエレベーターやエスカレーターの整備など、街づくりも疎かにしてはなりません。

参考記事:

21日付読売新聞朝刊14版 8面(経済)「ホテル稼働率 好調続くか」

MBS(毎日放送)https://www.mbs.jp/voice/special/archive/20190201/