深夜の便利屋、必要か

皆さんのお宅の最寄りのコンビニってどこでしょうか。セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン・・・。ちょっと夜中に小腹が空いた、急なお泊りで準備が無い、レジのあの子がかわいくて毎朝通ってしまう。今や私たちの日常になくてはならない存在ともなったコンビニエンスストアですが、最近、ちょっと様子がおかしいみたいです。

コンビニエンスストアの最大の特徴と言えば、言わずもがな、24時間営業という運営形態です。スーパーや薬局が閉まった後でも、コンビニであればいつでもどこでもほしいものが手に入ります。

けれどもここのところ、このコンビニの大前提である24時間営業という運営形態を維持できなくなる店舗が増えてきています。私の通う大学最寄りのファミリーマートも、昨年末あたりから深夜の営業を中止し始めました。

大きな理由のひとつは人手不足。コンビニの店員はそのほとんどがアルバイトで賄われていますが、正規雇用で働く一般企業などと違い、安定した働き手の確保が難しくなっています。また、深夜勤ともなると雇える働き手の範囲も狭まり、時間に融通の利く学生かフリーターがほとんど。特に学生は短期で辞めてしまいます。

そして何より、コンビニの店員という職種の不人気さが大きな問題です。理由は簡単で、コンビニの店員=ブラックバイト、というイメージが固定化してきていることにあります。チケット販売や収入代行、品出し、宅配・郵便物の受け取り、接客対応に追われ、酔っ払いやクレーマーもしばしば、それを時給900円程度からという賃金でこなさなければならないので、ブラックであるのはあながち間違いではありません。コンビニ店員を経験した身で正直に言わせてもらうと、できればコンビニでバイトするのは遠慮したいところです。

このような現状に則して、セブンイレブン・ジャパンでは一部店舗で営業時間を縮小し、売り上げや客足への影響を試すというような施策も講じられているようです。

確かに、深夜帯の客足はそうは多くありません。1時間に5人も来れば多い方ではないでしょうか。深夜勤は販促物の設置や品物の入れ替え、雑誌類の返本などが主な仕事ですから、その仕事をほかの時間帯でうまく補えれば売り上げなどの面では問題はなさそうです。

しかしこれは、運営する側の話。深夜にコンビニが使えないとなると、万が一のことがあったときに困ることが増えるだろう、と誰しも思うはず。日の出とともに起きて日の入りとともに家に帰る生活が絶対ではなくなった現代社会のひずみが、一番わかりやすい形で表れているように感じられます。

さて、みなさんはコンビニの深夜営業の廃止、いかが思われますか。なくては困ると思うでしょうか、我慢できるでしょうか。

朝起きて夜は寝ている生活が普通に送れる社会であれば、こんな心配もしなくて済んだでしょうに。

4日付 読売新聞夕刊(大阪3版) 1面 「よみうり寸評」