「都市鉱山みんなのメダルプロジェクト」が来月で終わります。東京オリンピック・パラリンピックで授与される5000個のメダルを、電子部品などに形を変えた貴金属が大量に眠る「都市鉱山」で賄おうというものです。大会で授与されるすべてのメダル分の素材確保のメドが立ったため終了が決まりました。2017年4月に始まり、全国の自治体やドコモショップに回収箱が設置されてきました。
公式ホームページで必要な総量をみると、金30.3㎏ 銀4100㎏ 銅2700㎏となっています。それに対し、2018年度10月時点の確保状況は、金が93.7%、銀が85.4%、銅にいたっては100%。
目標量で見ると、銀が最も必要とされています。銀メダルだけでなく、金メダルにも使われるからです。金メダルは銀の下地の表面に金を薄く貼って作られます。銀不足は金メダルの製造にも関わるのです。
筆者は、先日都内のJR新橋駅の定期券売り場で回収ボックスを見つけました。
▲新橋駅定期売り場内の回収ボックス 筆者撮影
こんなところにまで設置されていることに驚きました。駅員に話を聞くと、「持ち込まれるものは、携帯電話・ゲーム機がほとんど。最近では、このボックスが一杯になるのには2か月くらいかかる」とのこと。JRでは2018年7月からプロジェクトに参加しているそうです。駅長室の前に宣伝のぼりを掲げているだけあって、このボックスに入れるためだけに来る人もいるそうです。大人が多いけれど、子どもも来るようで、誰でも気軽に関われるプロジェクトといえるのではないでしょうか。
東京でオリンピックが開催されるのは1964年以来、56年ぶりとなります。使われなくなった家電製品からメダルをつくるのは、オリンピック史上初の試みです。目標まであと少し。ぜひゴールとなる3月末にはリサイクル率100%を達成してほしいと思います。いらなくなった自分の携帯がメダルに変わり、力闘した選手の手に渡る。素敵なことだと思います。
参考記事:9日付 朝日新聞朝刊 (13版) 34面 「東京五輪メダル用、金・銀・銅そろった リサイクル回収、来月終了」