「安全運転=ゆっくり走る」なのか

警察庁は30日、一部の高速道路の最高速度を120kmへ試験的に引き上げると発表しました。対象は新東名高速道路の新静岡~森掛川間と東北自動車道の花巻南~盛岡南間です。

筆者はクルマを運転するのが好きで、頻繁に高速道路を利用しています。大阪市内の都市高速や郊外の高速道路などを走行しますが、その際「80km制限はほとんど意味をなしていないのでは」と思うことが多々あります。その傾向は交通量の比較的少ない郊外の高速道路に顕著で、クルマが全然走っていない時間帯が多く、車線も複数用意されている道路なのに、果たして制限速度を80kmに設定しているのはどのような意味があるのか疑問に思うことがあります。

もちろん、やみくもに制限速度を上げてしまえば危険な運転をするドライバーが増えるかもしれませんし、なによりその高速道路の設計速度との関係もあります。カーブや合流地点の多い阪神高速や首都高で100km制限などまず無理でしょう。

例えば、筆者がよく使う名神高速道路(西宮~京都南)や第二京阪道路では、渋滞がなく交通量もそこまで多くない時間帯では80km制限を守っている車の方が少なく、それをしっかり守っている車は走行車線を走っていないと後続車のドライバーに嫌な顔をされるのがオチです。また、さらに交通量が多く道幅も狭くなる阪神高速といった都市高速ですら制限速度を10~20kmオーバーしたクルマを頻繁に見かけますし、それは乗用車に限らず貨物車でも同様です。

ではそうした状況で例えば最高速度を100kmへ引き上げたところで「それなら120kmで走ったろうか」と考えるドライバーがどこまでいるのかという問題だと思います。多くのドライバーは何キロで運転するのか目標を立てているわけでもなく、前後の車間距離や走行のしやすさ、交通量などを考慮して「たまたま」制限速度を10~20kmオーバーしていることが多いのではないでしょうか。

だからといって制限速度を超す運転をしていいことにはなりませんし、それで検挙されても文句は言えません。しかし、従来の80kmか100km(一部は60km、ごく一部は110km)といった杓子定規の速度制限で全国の多様な高速道路を管理するのはいささか無理がある気がします。道路の性能や周辺への騒音対策を施して問題がないのならその道路に合った速度を分かりやすくドライバーに提供することが大事です。

何年も前、ダウンタウンの松本人志さんがテレビ番組で「安全運転=ゆっくり走る、だと思うな!」と力説したのを思い出しました。ドライバーの皆様、今日も安全運転で!

参考記事:

31日付 読売新聞朝刊14版 31面(社会)「高速一部 最高速度120キロ試行」