特産品は「票」ですか。

「 特産品は、票です」と言っても過言ではないくらい、地方の選挙における圧倒的な集票力で現在の与党を支えてきた農協。一次産業の弱体化が叫ばれる中、トップ組織の改革は「強い農業」への幕開けとなるのでしょうか。

9日、政府自民党は、全国の農協組織に君臨する全国農業協同組合中央会(JA全中)の地域農協に対する指導・監査権を廃止し、全中は2019年3月までに、経団連などと変わらない一般社団法人に転換されることが発表されました。これにより、地域農協は農産物の販売などで自由な動きが取れることや他の監査法人の監査が受けられるようになるなど、自立性と競争性の促進が期待されます。

一方、下部組織の都道府県中央会の農協法上の位置づけは残り、農家以外でもなれる「準組合員」による農協運営のスーパーや金融事業の利用制限も先送りとなりました。4月の統一地方選に向けて、票田である農協への配慮が見られる改革案となりました。

そもそも、なぜ農協の改革が必要なのでしょうか。耕作地の小さい農家が助け合うために設立された協同組合です。一軒一軒では競争力や経営基盤が弱いため、農協として連携することで日本の農業を支えてきました。しかし、農業総生産額は1984年から2012年までに4兆円近く減少し、耕作放棄地は約40万ヘクタールに迫り、農家の平均年齢は65歳を超えています。環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を控え、トップであるJA全中を改革し、トップダウンでこのような「弱い農業」の改善を図りたいのではないかと考えられます。

しかし、それだけで農協改革が成功するという考えには疑問を感じています。農協はあくまで「協同組合」であり、加盟している多くが小規模農家です。組合という形態をとっている農協の改革を目指すのならば、中央組織を改革するのではなく、最小単位である農家それ自体の改革を目指すべきではないでしょうか。日本の農業が「弱い」と言われている原因として、小規模農家が多く、非効率な生産が行われている現状が挙げられます。戦後の農地改革で小作人に土地が売却されたことで、農家の自立は達成されました。しかし農水省のHPによると、今日の農家の平均収入は200万円強で、専業での自立は難しくなっています。

成長戦略の一つとして考えているのであれば、ビジネスの手法をよく理解している企業参入を促進したり、土地や資本の統合による効率化を進めたりすることがどうしても必要ではないでしょうか。従事者は減少しますが、生産量や価格、品質などで競争できるとも考えられます。選挙の票ばかりよく集まる田畑ではなく、本当の農産物がすくすくと育つ農業の時代は果たして来るのでしょうか。

参考記事:本日付朝日新聞(東京14版)1,2面・同日付日本経済新聞(同版)1,3面・同日付讀賣新聞(同版)1,2,3面