幼い頃に描いた夢は何ですか。ヒーローになりたい、空を飛びたい、お菓子の国で暮らしたい・・・誰しも憧れの世界に夢中になった経験があるはずです。
いつか白馬に乗った王子様が迎えに来る、と信じていた少女時代。周囲から否定されても頑なに主張し続けていた記憶が蘇ります。結婚年齢を超えた今、裕福な男性に養ってもらう生活は求めていませんが、理想の相手に出会い素敵な結婚をしたいという思いは変わりません。
朝日新聞の世論調査によると、25〜34歳の未婚者のうち結婚願望を持っているのは77%。男性が75%なのに対し、女性は80%とより高くなっています。
一方で、将来「自分は結婚する」と思っている人は6割にとどまっています。72%の女性が結婚相手を選ぶときの譲れない条件として「収入」と回答。相手選びに正規・非正規などの雇用形態を意識すると答えた女性は85%でした。年収の低い層ほど「結婚しないと思う」「交際相手がいない」率が高くなっています。
興味深いのは、結婚と子育てに対する意識です。「結婚したら子どもを持つ方がよい」と思う30代以下の若年層は7割を超えています。
では、夫婦の役割分担と育児に対する意識はどうでしょうか。「働く女性が増えたほうがよい」と思う人の割合が69%を占めながら、「子供が幼いうちは、母親が家で面倒をみる方が良い」という回答は63%。つまり、半数以上が「女性は働きつつ家庭で子育てを」と考えていることになります。
「今の日本は子どもを生み育てにくい社会」と答えた人は72%。その理由に挙げられているのは「経済的負担」、続いて「仕事との両立の難しさ」でした。
若者の結婚を阻んでいるのは、結婚生活への不安です。誰もが安心して家庭を築ける社会の実現が求められています。多様な働き方を受け入れる、休職制度や職場環境の整備が必要です。大きな経済成長が見込めるとは考えられませんが、社会保障における世代間の配分を見直すことで経済的負担を減らすことができます。
就職活動を始めてから、ワークライフバランスについて真剣に考えるようになりました。仕事選びに妥協はしたくないけれど、結婚も育児もしたい。志望する職業で思い描くようなライフイベントを迎えることができるのか。子どもに十分な教育を受けさせるだけの収入を得たい。就活イベントやOG訪問を利用して、それぞれの会社における制度や待遇、キャリアパスについて研究しました。
でも、いくら熟考したところで、この先どうなるのかは誰にもわかりません。今の私には、結婚を約束した相手もいなければ、子どもができる保証もない。仕事一筋、あるいは専業主婦の道を進む可能性もゼロではないのです。
予測不能な将来を悲観するよりも、現時点での最善を尽くす。今は目の前の目標に全力で取り組み、キャリアステージの変化やライフイベントごとに軌道修正を行う。そんな考えに落ち着きました。
とは言え、多くの若者が大なり小なりライフキャリアに対する不安を抱えています。「安定した雇用や収入」と「仕事と子育ての両立」が実現しなければ、未婚化や少子化は加速するでしょう。働き手の減少は長時間労働を生み、引き起こされる諸問題が不況を助長します。ますます結婚や子育てが困難になります。
いつか“白馬の王子様”が現れたとき、一緒に歩んでいく幸せな未来を描けるように。誰もが「結婚」という現実的な夢ぐらいは叶えられる社会であってほしいものです。
参考:
13日付 朝日新聞朝刊(東京12版)24面「結婚・子育て 夢描きにくく・・・」