街の衰退と起業の関係

地域の経済を支えていた企業が、その街からいなくなった時、何が起こるのでしょう。雇用は失われ、街を去る人もいるでしょう。逆に、街の衰退をどうにか食い止めようと試行錯誤する人もいると思います。

ニューヨーク州ロチェスター市は、コダック社が経営破綻した後、経済活力が徐々に失われていきました。コダック社は2年前に再建されましたが、経営破綻前ほどの雇用はありません。

しかし、ロチェスター市では、「起業」によって地域経済の再生が進みつつあります。元コダック社の従業員が中心となって、ベンチャー企業を興しており、少しずつ街の回復も進んでいるようです。

日本でも、「地域経済の衰退」は地方にとって大きな課題だと思います。企業は安い労働力を求め、海外に工場や事業所を移しつつあります。若者が地方から都市部に移住する「一極集中現象」も懸念されています。「企業の撤退→職を求めた若者が都市部に流出→一層企業が撤退する」という負のサイクルが生まれる可能性も考えられるでしょう。

そのような中で、起業というのは、地方が生き残る術になるのではないでしょうか。例えば、アメリカのシリコンバレーには、起業を志す若者が自ら訪れてきます。シアトルでは、マイクロソフト社が本社を移転して以降、起業も盛んになり、街に活気が生まれていったそうです。こうした都市には、ベンチャー企業が勃興することで、起業に必要な「ヒト・モノ・カネ・情報」が集まりやすくなり、起業を志す若者がより集まるというサイクルができでいるのではないでしょうか。

行政や大学などが協力し、野心と能力のある若者をサポートすることで、日本でも魅力のある地方都市を生むことができると思います。

参考記事:8日付朝日新聞朝刊「衰退の城下町 起業の芽」