地域おこしの万能薬はない

筆者のアルバイト先では移住・交流支援情報サイトを運営している関係で、自治体のイベントや移住体験ツアーの運営に携わることがあります。先日北茨城で行われた交流ツアーのアンケートを集計していると、この地域にあったらいいと思うものは何か、という質問に対して「公共交通」や「まちの人とふれあえる場所」等の意見がありました。

交通基盤の整備、新産業の創出事業等を進めていくには多額の財源が必要となります。国の地方創生に係る財政支援は、地方交付税による「まち・ひと・しごと創生事業費」や「地方創生推進交付金」のほか、各省庁の個別施策によるものがあります。地方自治体の財源不足を補う地方交付税ですが、21日に政府が決定した2019年度予算案では15兆9850億円で、前年度当初予算から4701億円増えました。19年度の地方税収は、景気回復に伴い過去最高になると見積もられているそうです。

ハード面の整備のほかに、地元の人や場所をどう活かし、使っていくかというソフト面での取り組みが重要になっています。特に、先述の通り、地域外の人にとってはそこに暮らす人と仲良くなれて、住民にとっては「ここに行けば誰かとつながれる」という場所は大切です。

この先、地方の中心市街地で日常的に人がごった返すような光景はなかなか望めないのではないかと思います。一方でマルシェや体験ツアーの開催、コワーキングスペースの活用など、各地で面白い動きが生まれています。どのような状態になればその地域が活性化しているといえるのか、今一度考えてみたいものです。

参考記事:22日付 朝日新聞朝刊(東京14版)38面(社会)「市街地振興、見えぬ成果 検査院指摘 国費8700億円投入」
同日付 読売新聞(東京12版)14面(特別面)「2019年度予算案閣議決定 主な事業のポイント」