さん。くん。ちゃん。何て呼ばれたい?

「様」「さん」「君」「ちゃん」「殿」「氏」

日本語には、名前の後に付ける敬称が数多く存在しています。相手や場面によって使い分けねばならず、どれが適切か迷ってしまいます。英語なら、男性には「Mr.」、女性には「Ms.」を付けるだけなのに。

小中高時代、先生が生徒の名前を呼ぶとき、男子には「君」、女子には「さん」が使われていました。親しい友人には呼び捨てやあだ名を使うことも多かったのですが、あまり親しくない友人には先生と同じルールを適用していました。近年は、男女に関わらず「さん」付けで生徒を呼ぶ教育現場が増えているようです。男女の区別をなくそうとする社会の潮流を感じます。

私の通う大学では、誰もが「君」付けです。これは、生徒に限らず、教職員も含みます。学期末に学校から送られてくる成績表には「田端萌夏(私の名前)君」と書かれており、最初は違和感を覚えました。休講のお知らせにも「○○(教授の名前)君」と表記されています。

さて、国会はどうでしょうか。衆議院と参議院の規則には「互いを敬称で呼ぶ」とあるだけですが、男女問わず「君」付けが慣習になっているようです。1890年の第1回帝国議会で、貴族院の議長だった伊藤博文が発言者を「君」付けしたと記録が残っています。

京都大学名誉教授の海原徹氏は、伊藤が学んだ「松下村塾」の創設者である吉田松陰に起源があると見ています。

松陰はどんな塾生とも対等な立場で向き合うことを理想とし、相手を「君(きみ)」、自分を「僕」と表現したという。「師弟関係は上下の関係。当時はとても斬新だった」

1日の衆院予算委員会では、初の女性委員長である野田聖子氏が発言者を「さん」付けで指名し、話題を呼んでいます。

「一般社会では男女の別なく『さん』付けで呼び合うことが多い。その方が自然にお呼びできると思った」

野田氏の言葉です。

敬称に対する印象は、時代や人によって異なります。親しみやすく、男女の区別や上下の垣根を感じさせない呼び方があればいいのですが。

 

参考:

9日付 朝日新聞(東京13版)33面(社会)「野田氏、国会で「さん」付け なぜ注目?」