今朝の新聞を開いてみてください。どのページでも良いです。少し読んでみてください。さて、分からない言葉はいくつありましたか?
新聞は、中学校を卒業するくらいの知識があれば、だいたい読めると言われています。
ですが、それはあくまで「日本で生まれ育った私たちにとって分かる言葉」です。
横浜市は、昨年までに市役所で使う500以上の言葉を簡単に言い換えたそうです。例えば「市営」は「市の」、「収集」は「集めること」と言うようになったそうです。これは、日本語がまだ分かりにくい外国人に向けた取り組みで、「やさしい日本語」と呼んでいます。主語を略さない、難しい文法は使わない、同じ意味の言葉(類義語)は簡単な一語にするといったルールがあります。
ある調査では、日本に住んでいる外国人のうち、簡単な日本語の方が英語よりも分かりやすいという人は約6割とのこと。この人々にとって、「やさしい日本語」は日本でコミュニケーションを取るために不可欠なものなのです。
「どうしてわざわざ外国人のために」と思う人もいるかもしれません。ですが、考えてみてください。もしあなたが外国に住んでいたとして、相手が少しでも分かりやすい言葉を使ってくれたら嬉しいと思いませんか。
私は今、韓国にいます。まだまだ韓国語を上手に話すことはできません。街で見かけるハングルの意味が分からないことがあります。突然話しかけられても聞き取れないことがあります。
言葉が分からないということは、不安を通り越してもはや恐怖です。そんな時に相手が「じゃあこれなら分かる?」と簡単な言葉で話してくれたら、とても安心します。それと同時に、その国の言語をもっと知りたいと思えるようになります。
▲テレビを見ていても言葉が分からず、不安になることも(韓国・ソウルで筆者撮影)
もし外国人がルールを守っていなかったとしても、相手は「分かってくれない」のではなく、簡単な言葉が欲しいのではないでしょうか。
やさしい日本語は外国人のためだけでなく、生きやすい社会をつくるための言葉です。
あなたの周りにある難しい言葉、ちょっと簡単にしてみませんか?
参考記事:
8日付朝日新聞朝刊(東京12版)15面「記者有論 やさしい日本語 社会のため」