同窓会感覚の選挙協力は止めよ

安倍総理が自民党総裁選で石破氏に勝利し、日米首脳会談では自動車関税引き上げの回避に成功し、日中関係も改善の方向に。安倍政権にとって追い風が吹く中、野党は相変わらずパッとしないままです。安倍内閣の支持率が少しずつ上昇する中、主要野党の支持率は1ケタ台から抜け出せていません。

しかし、どんなに支持率が低くても選挙はやってきます。来年には統一地方選や参議院議員選挙など大型イベントが控えています。人気低迷に悩む野党はどう対応するのか。

その答えとして野党は選挙協力に乗り出そうとしています。巨大与党に対抗するためには全国に32ある1人区での野党候補の1本化が欠かせないというわけです。この認識は立憲民主党と国民民主党、共産党の間で共有されています。しかし、共産党が党同士で候補者の調整を直接交渉したいのに対し、立憲民主党と国民民主党側には、共産党と直接タッグを組めば共産に嫌悪感を抱く支持者の批判を招く懸念があります。このため、話し合いは遅々として進んでいません。

しかし、そもそも野党間の選挙協力は必要なのでしょうか。先に述べた通り、確かに野党の1党1党は正直小さすぎてとても単独で与党に立ち向かうだけの力があるようには思えません。しかし、そんな少数勢力になったのは選挙の結果であり、国民の声なのです。支持が少ない議員は支持の多いライバルに淘汰されるという当たり前の過程を踏んだ末に小さくなったわけで、その自覚が足りないように思うのは筆者だけでしょうか。

当然、支持率というのは上下するものですが、それが低いときにその党がなすべきなのは、国民にどう自らの政策を上手に伝えるのか、いかに実績を残すのか、そして国民が何を求めているのかを思案することです。選挙後に連立政権を組むわけでもない他党と選挙区ごとに票を割り振ることではないのです。

ましてや立憲民主と国民民主の所属議員の多くは旧民主党という同一政党に所属していたはずです。維新や希望など回り道をしながらも袂を分かった結果として、別々の政党に分かれたのです。政策思想が違うにもかかわらず結果として選挙協力を行うのは理解できません。

与党に対抗するためだけに野党がまとまるのならば、「与党」以外の政党は要らなくなってしまいます。日本に健全な野党が登場するのを期待するのは意味がないのでしょうか。

参考記事:

29日付読売新聞13版 4面(政治)「選挙協力 野党3党に溝」